ゲーム

ゲーム

ローグライクアクションゲーム「Inkbound」に見るゲームの自由度と非自由度の拮抗モデル

Steam:Inkbound確かにゲーム「Inkbound」は面白い。私が思うにこのローグライクアクションゲームは様々な可能性を捨てていないところが素晴らしいと思う。可能性というより可塑性という方が正しいか。ゲームの設計が素晴らしいのは自由度と非自由度に対して理解力を高く示している点だ(可塑性の本質)。ゲヲログ2.0でも記事で解説した持論たる理論に過ぎないがこれは作図でこのように表すことができると私は常々考えている。次の作図を見てみてほしい。ゲームの設計にあたってはこのように”できること”と”できないこと”とがある。プレイヤーはこの自由度と非自由度とのゆらめきの中で過ごすエンターテインメントの娯楽者に過ぎない。そしてその自由と非自由の間でプレイヤーは活動する。その拮抗が境界線として表される。ゲーム設計は人生ゲーム(試行)と同じ問題なので拡張できるが様々な外因がないという点でこのモデルは良くゲームの性質を表している。「Inkbound」は典型的なターン制ゲームに見られるグリッド移動ではないという点で特にこの自由性に強みを持っているのだ。もう一度作図を説明しよう。「Area of Free...
ゲーム

傑作ローグライク脱出系FPS「SULFUR」はどこがクソなのか?

傑作ローグライク脱出系FPS「SULFUR」はそのSteamでの正式販売以前から特段注目を浴びてきたゲームだ。私もこのゲームのデモ版を口が酸っぱくなるほどやりつくしたし期待感が高まるあまり発売以前から常に”これは絶対にフルプライスで買いたい!”と思ってきた。この際ハッキリ言うがリリース後その期待は裏切られたといっても過言ではない。たしかに「SULFUR」はすごいゲームだし今でもそう思っている。では「SULFUR」はどこがダメなのか?このゲームがダメな点はたったひとつだけだ。それが”高難易度”と”初見殺し”をはき違えている点である。私が提起しているふたつの要素はどう違うのだろうか?まず”高難易度”は読んで字のごとく「難易度が高いこと」を表す。ただしこの言葉はその「高い難易度の中でゲーム的にクリア可能なプレイ性があること」も意味する。そういう意において(少なくともゲヲログが提示する文中では)”高難易度”=”初見殺し”ではない点に注目してほしいのだ。つまり”高難易度”≠”初見殺し”なのである。”初見殺し”とは何か?という解説も必要だろう。これはゲームで相まみえた敵(特にボス)が「一回のプレイ...
ゲーム

カプコンは「ロックマンX」シリーズのリブートをとっとと実行に移すべきだ

カプコンの開発ゲームソフトの中でリブートが望まれているものとして私が筆頭に挙げたいのはどー考えても「ロックマンX」シリーズである。「ロックマン」というと既にリブートされている旧作のほうを思い出すかたが多いだろうけどそっちはもうおなかいっぱいというのが正直なところ。現に旧作の「ロックマン」は「ロックマン11 運命の歯車!!」が出ている当たり既にかなり充実しているラインナップを誇っているしそのリブートの頻度も高いものがある。ここはいっちょまえに欲張ってZEROやVAVAやΣといった近代的なキャラが登場する「ロックマンX」シリーズのリブートをお願いしたいところだ。良く混同されがちだが「ロックマン」のIPはクリティカルな世代にとってはやはりFCの「ロックマン」旧作とSFCの「ロックマンX」に分派していると思う。ふたつは似ているようなものだがと同時にまったく違う魅力を持っている。旧作の「ロックマン」は粗くも繊細なドット絵に彩られたものだったしFCの感触があるがそれに対して「ロックマンX」はやはりSFCで表現できる硬派なロックマンの全てをカバーリングしていると思うのだ。まぁ「ロックマン」で青春を謳...
ゲーム

STGってローグライク(ローグライト)の先駆けなんじゃね?

最近STGってローグライク(ローグライト)の先駆けなのでは?って思うようになった。これには共通項となる理由がいくつかあると思う。まず初めになんといってもリプレイ性があること。これはローグライクにとってもSTGにとっても間違いなく重要な要素だ。加えて多くの一騎当千方式STGでは残機性のシステムを採用しているからなおのことリプレイ性が高い。何度もプレイして上手くなっていく要素もあるだろう。これ(何度もプレイして上手くなっていく要素)はローグライクの持つ難易度の問題とも近しい。STGは比較的高い難易度で楽しむゲームジャンルだ。「東方Project」に代表されるような弾幕ものに限らず多くのSTGが高い難易度を誇っており何回もプレイしてクリアに近づくといういわば「ダークソウル」に通じる高難易度の性質があるといえる。しかも多くの一騎当千方式STGでは死後の持ち越しがあまりない。まさにローグライクに近い概念設計だ。この指摘はかねがね当たっていると思う。実はゲーム内に点在する成長要素もローグライクに近しい要素である。例えばパワーアップアイテムなどの報酬がSTGのゲーム内にはいくつも配置されていてこれを...
ゲーム

Steamで注目すべき「タクティクスオウガ」や「ファイアーエムブレム」に似ているSRPGを5つ紹介する【ゲヲログ1.5版】

Guild Saga: Vanished Worldsまずこれがトップに来るなという印象はある。間違いなくJ-SRPGに強い影響を受けている一作でもうすでにアーリーアクセスが始まっている。SRPGの傑作たちに影響を受けているのは間違いなさそうだが一方「Divinity: Original Sin 2」にもかなり強い影響を受けているCRPGの風味も強めの一作。一筋縄ではいかないシミュレーションの極意を見極めたいSteamerにとっては必ず注目しておくべき一作。日本語化の路線が決まっていて配信中の無料のデモ版もある。
ゲーム

同じローグライトでも私が「UnderMine 2」には期待しても「Orcs Must Die! Deathtrap」には期待しない理由

同じローグライトでも私が「UnderMine 2」には期待しても「Orcs Must Die! Deathtrap」には期待しない理由をここで説明しよう。理由は簡単で同じローグライトでも前者は部屋クリアリング型のローグライトACTであり後者はタワーディフェンス型のローグライトACTだからだ。両者は同じ共通項というローグライト要素を持つゲームだがその内実はかなり違うと想定されるのだ。私がタワーディフェンス型のローグライトに期待しない理由はゲヲログ2.0に詳しいがもう一度それを説明してみる。基本的にローグライトゲームは繰り返しのロールプレイのループの中で新しい発見を得たり違う攻略法でルートを開拓したりすることに愉快さを覚える形式のゲームである。その中で決定的にかくあるべきゲームの姿が見通ってしまうとロールプレイの愉快さのバリエーションが乏しくなり結果が簡単に決まってしまう。そしてタワーディフェンスゲームというのはその最適化たるプレイ要素がそもそも決まっているものなのだ。だからタワーディフェンスとローグライトは実は相性が最悪なのである。もうちょっと詳しく説明しよう。タワーディフェンスはマップ...
ゲーム

Steamリプレイ2024でゲヲログ管理者のSteamerとしての一年間のアクティビティーを振り返る

Steamニュースで報じられているがSteamリプレイ2024が公開された。これは前年度までSteam年間レビューと呼ばれていたものの刷新プロジェクトで自分や(公開されている)他人のSteamの年間プレイ状況が一目でわかるというもの。そこで今年の末に至るにあたり私自分自身のリプレイ状況を振り返ることでSteamの個人的な活用方法の在り方が観察できるのではないかと考えた。それを簡単に具体的にタイトルも合わせてここで報告してみる。私の場合Steamでプレイしたタイトル数は127。前年よりも8減った。買ったゲームが73・プレイした体験版が155・またプレイテストに参加したタイトルが4となっている。アンロックした実績は相変わらず低調で187になった。これは前年よりも170少ない。一番プレイしたタイトルは「Counter-Strike 2」で次点で「Farlight 84」が続いた。つまりPvPのゲームに今年は熱中していたわけだ。ただ今後もこれらの熱中したPvPゲームを継続的にプレイするか?というとそうはならないと思うところ。続くタイトルには「SULFUR」「バトルシェーパーズ」といったシングル...
ゲーム

ゲーム業界は苦境に立たされているのか?

AUTOMATONが記事で2024年末時点でゲーム業界が苦境に立たされていると主張している。具体的なsourceもデータも列挙されていて興味深い記事だ。だがゲーム業界で失業者が増えているのは別産業と比べても特段問題なのだろうか?私はそうは思わない。そもそも資本主義の常識ではレイオフは当然好景気の時にやるべきことだ。日系企業がレイオフをしないのはその伝統的慣習の問題もあるだろう。記事が伝える通り欧米のゲーム業界でレイオフがされている理由はやはり確かにあると思う。簡潔に言うとこの問題はレイオフのタイミングなのだ。日系企業はギリギリの経営危機に陥るか時期が煮詰まってから経営的英断によってレイオフを行う傾向にある。だが本来レイオフとは経営危機や景気後退に直面したときに行うべき企業的判断ではない。日本人の感覚からして外れているが本来は好景気に時にレイオフはすべきなのだ。なぜか?話は単純である。不景気になってからレイオフするのはそのタイミングが遅すぎるからだ。経営が良い状態・企業体力がある状態では当然経営的に余裕がある。その後リセッションが巻き起こる前に加熱する企業的な本質活動に歯止めをかけなけれ...
ゲーム

Cremaは「Immortal Redneck」の続編を作るべきである【続き】

私がCremaに「Immortal Redneck」の続編制作を強く推薦するワケは単純に本作がローグライトFPSとして優れているからだけなわけではない。もちろん優れている点としてこのジャンル・ローグライトFPSのゲームの先輩格だったことはゲヲログ1.5の前記事にて指摘させていただいたがこれ以外にも確かな理由がある。それは当該続編がコンセプチュアルな作品として成功が見込めるという理由にある。アマチュアな分析になってしまうがそこを新たに指摘させていただく記事が本投稿の主旨である。さてローグライトというジャンルは続編が作りやすいジャンルである。なぜだろうか?まず世界観の継承という理由が挙げられる。ローグライトは一端ファーストリリースのゲームで成功すればその世界観を継承することで次回作品へのイメージングがすごく容易になる。わかりやすく事例を挙げよう。例えばファーストリリースのゲームで成功しさえすればその路線を継承してグラフィックスを改善し2Dから3Dにしたりすることでうまく次回作品・続編として潤滑にリリースにこぎつけることができるという点がある。グラフィカルなリソースを一から作り直さなくていい...
ゲーム

Cremaは「Immortal Redneck」の続編を作るべきである

一部のSteamerが伝えるようにやはりCremaは「Immortal Redneck」の続編を作るべきである。私はこのゲームに出会ってからSteamにおけるローグライトFPSの可能性を強く信じるようになった。これは一介のSteamerとしてゲーム人生における大きな岐路だったと思う。このローグライトFPSの初達をきっかけとして「Gunfire Reborn」に手を出した。「Ziggurat」にも手を出したし「Deadlink」にも手を出した。さらには「バトルシェーパーズ」にも手を出したし今に至って「SULFUR」及び「Witchfire」に手を出したことはゲヲログでも伝えている通りである。つまり「Immortal Redneck」はローグライトFPSの先達だったのだ。その特徴を見てみよう。まずエジプトを舞台にしたヒャハー☆なFPSである点。舞台設定や世界観が優れている点は間違いなく優秀な点である。次に豊富なクラス選択とスキルツリー開拓が第二の特徴と言えるだろう。これによりゲームの深みに多層な性質が刷り込まれておりやり込みができるようになっている。またゲームバランスの良さも特筆すべきだ。...
ゲーム

なぜ「Minecraft」はSteamで販売されないのか?

おかしな話だと思う。Steamには「Minecraft Dungeons」はあるし「Minecraft Legends」もあるのだ。だが「Minecraft」はない。なぜだろうか?PCゲームプラットフォームとして圧倒的なシェアを誇るSteamに「Minecraft」があってもいいのではないか。なぜないのか?この素朴な疑問については数年前のGame*Sparkの記事が伝えるようにNotchの声明が確認できる。現在Notchは「Minecraft」の開発からは離れて久しいがこれを参考として見て考えられる理由をまとめてみよう。Markus “Notch” Persson氏、『Minecraft』をSteamで配信しない理由を語る | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイトNotch氏、Steamで『Minecraft』を配信しない理由を再び語る | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト・Notchはオフライン環境は弱い面があるもののSteamを素晴らしいゲーミングプラットフォームだと褒めている。・Steamで「Minecraft」を売ることはそのIPについてでき...
ゲーム

Steamゲームレビュー「Conquistador」

「Conquistador」はかの生ける伝説的ローグライクゲーム「Spelunky」以来の傑作である。このゲームは裸の赤男を操作し深い洞穴を旅するローグライクゲームだ。ゲーム自体は間違いなく「Spelunky」に強い影響を受けている。だがゲームデザインやゲームシステムにこのゲームありきの独自色を色濃く出しているのでアレのパクリでは済まないほど個性的なエンタメに仕上がっていると言える。さて歴代のゲヲログのレビュー記事がさんざ認めるようにゲームにおけるグラフィックスは超重要である。なぜかというとこれほどの数のゲームがガンガンリリースされる昨今のゲーム市場で個性的な視覚的インパクトを購買層に与えることの重要性が高まっているからである。Steamで一見して魅力的なグラフィックスが実装されていないゲームはよほどのことがない限り多くの消費者の目に留まらないのだ。その点でまずゲーム「Conquistador」はとびっきり優れている。極めて個性的であるからだ。ではグラフィックスのみが良ければ現代のゲーマーのニーズに答えられるか?というとこれまた難しいだろう。消費者のニーズは時代の進歩とともにガッツリ利...
ゲーム

Steamゲームレビュー「ゲーム業界出世街道 (Crush the Industry)」

ゲーム「ゲーム業界出世街道 (Crush the Industry)」は近年乱造されているローグライトゲームの中でも屈指の出来を誇る白眉である。最近日本語ローカリゼーションが実装されたので時限的な魅力は半減しているがその真価はいくら誇張しても誇張しすぎではない。それほど絶賛するべきゲームである。何と言ってもユーモラスなインターフェースやグラフィカルな要素が素晴らしいのは目に留まる。それは往年の名作「MOTHER」シリーズの影響下に見られるようにデザインとして優れているのだ。だが表面上見える点だけで評価してはいけない。このゲームには本質的な中身があるからだ。探なるブラックゲーム開発会社を舞台にしただけのゲームではない。その意で統合的なエンタメといった方が良いか。まずターンベースのゲームであるのにもヒットポイントはリアルタイムで敵の被ダメージに従い減衰していく。例えば15DMG喰らったとしよう。その15DMG分はリアルタイムで減っていく。つまりターンベースですべてのステータスが割り振られているのではなくターンベースの中にリアルタイム進行のシステムを概略的に取り込んでいるシステムとなっている...
ゲーム

円安でSteamはどうなるか?

円安でSteamのゲームはどうなるか?ということについて考えてみたい。円安ということは相対的に物価が高まる原因だ。なぜかというと日本国で決済できる通貨である日本円の価値が下がるからである。相対的に物価は上がる。これがインフレーションである。当然輸入物も高くなる。なぜかというと円が安くなることで円の購買力が減るからである。このうち国内の流通製品に関するインフレーションの事例はよくわかるが海外についてはわかりにくいだろう。だから簡単な例を挙げてみよう。Steamで60米ドルのものを買おうとする。すると1米ドル=150円だったときは支払わなければならない円価は150*60=9000円である。これが為替が変動し1米ドル=160円になったとする。まさに今そうなっているがこの為替変動による円価の影響はどうだろうか?単純に考えてみるが1米ドル=160円になったとすると60米ドル=160*60=9600円になるわけだ。つまり円安になると輸入するものはSteamプラットフォーム上の表記でも価格が変動し高くなるのだ。そもそもなぜ円安が進むのか?というと根本的な原因は確かにある。これはXで全財産イーサリアム...
ゲーム

Steamで販売されているゲームはセール時なぜここまで割り引かれるのか?

これについては知恵袋に良い回答があったのでそれを基本にして解説してみよう。Steamでは販売されているゲームがセールの時期になると50%オフなんてものがざらである。果たしてこれはなぜなのか?Steamを運営するValveがこの大幅な値引きのあるセールのためどのような販売体制を戦略的に策定しているからなのか?まずダウンロード販売がキーワードであると当該知恵袋のベストアンサーは伝える。人件費がかからないという利点があるのだ。パッケージ販売と違ってデジタルな販売網を敷けるので全体的にオートマチックな販売体制を構築している。これが一番強い理由だろう。ゲームパッケージを作るにも相当の値がかかる。販売店舗も要らない。総じてデジタルの恩恵を受けているといったほうが話は早いだろうか。第二に値下げに積極的なインディーゲームプロダクションをSteamパーティに率いることに成功している点が挙げられる。AAAタイトルでなくインディーデヴェロッパだからこそ大幅な交渉の余地がある。そうしたインディーデヴェロッパは高コスト体質のゲームでは勝負しない。つまり価格弾力性が開発側・配給側・販売側それぞれにあるのでそうした...
ゲーム

Steamゲームレビュー「Witchfire」

ゲーム「Witchfire」は本当に画期的なゲームだ。このゲームはローグライクとソウルライクを掛け合わせて高度なFPSを目指す試みに大成功している。私がこのゲームを推すのは強い理由がある。まずなによりもビジュアルに訴えかけることに成功している点。これは外せない。ゲームは退廃的なビジュアルデザインで彩られていてまさに傑作ソウルアクションゲーム「ダークソウル」を彷彿とさせるものがある。しかもそのまんまのパクリでなくあくまでイメージアートとして目指す方向が同じ程度にデザインが工夫されているのだ。他方ローグライクの場面とソウルライクの場面の双面についてゲームプレイを実際に行った自分の経験上問うてみよう。まずローグライクの場面について。「Witchfire」の場合このシステム系はローグライクというよりかはローグライトに近い。双方の違いについてはゲヲログ2.0に詳しいのでその解説は譲るが端折って言えばこのゲームはローグライクではなく強化型のローグライトなのだ。このゲームは難易度が高く序盤の稼ぎもけっこうきつめである。レベルアップひとつにも回収要素が強く影響しておりこのソウル稼ぎもきついものがある。...