弾幕同人シューナンバーワンIP「東方Project」の第20作目「東方錦上京 〜 Fossilized Wonders.」の体験版がSteamで配信開始されている。2025年4月12日ZUN自身の手によって発表されているsourceを辿るとその経緯やコンセプトがよくわかる。こう書いて”とうほうきんじょうきょう”と呼ぶ20作目は原点回帰を目指して作られているという。「今回は特にオーソドックスなスタイルで気持ち良く弾幕が楽しめるようなゲームを目指しました」(東方よもやまニュースの記事より)
同sourceによればその発売は8月の夏コミ(コミックマーケット106のこと)になる予定だという。また体験版は5月5日開催の博麗神社例大祭(前述のコミケ106と同じく東京ビッグサイトで開催)にて頒布する予定だという(本記事が書かれているのが5月11日なので既に配布されているはずだ)。価格300円。体験版は第3面までプレイできる。情報によれば博麗霊夢と霧雨魔理沙がプレイアブルキャラクターになっているようだ。もちろんSteamでも販売される。
ゲームシリーズ「東方Project」は東京電機大学理工学部の在学生だったZUN(太田順也)の手によって作られた人気STG-IP。同人ゲーらしく二次創作や権利関係に寛容なライセンスを敷いていて派生作品が数多く作られていることでも知られる。最近ではコンビニの商品とタイアップしたりアニメーション作品や関連書籍や音楽CDが有志の手によって制作されている。その人気に着眼した会社法人が製品開発に強く関わっているシーンですら多く見受けられる。
学卒後(ちょうどジャストで就職氷河期の時代だったという)タイトーに勤めたZUNは自身の作っているSTG原作は人気が高かった&タイトー社内でも良く知られている同人ゲームシリーズだったゆえ上司直々に「東方をタイトー名義で出さないか?」と言われたこともあるそうだ(当然だがこのオファーをZUNが断っていることもファンの中ではよく知られている)。その後ZUNはタイトーを去った(退職した)。ディレクションなど社内でのキャパ(業務量)が多くなりすぎたというのが退職理由。
そして周知のごとくタイトー退社後もZUNや同人業界や一般企業の手によってこのSTG-IPは発展を続けている。ファンの間で根強い人気を誇る「東方Project」はそのキャラ愛を中心として海の向こう側でも話題となっているのだ。ゲーム業界のみならず他のコンテンツ業界に強いインパクトを与え続けていて一つの文化圏になっていると言っていいはず。キャラクターが多く登場し独特な言葉回しで進むストーリーはポストモダンの論理と重ねて指摘するものもいる(城輪アズサによる評論)。