おかしな話だと思う。Steamには「Minecraft Dungeons」はあるし「Minecraft Legends」もあるのだ。だが「Minecraft」はない。なぜだろうか?PCゲームプラットフォームとして圧倒的なシェアを誇るSteamに「Minecraft」があってもいいのではないか。なぜないのか?この素朴な疑問については数年前のGame*Sparkの記事が伝えるようにNotchの声明が確認できる。現在Notchは「Minecraft」の開発からは離れて久しいがこれを参考として見て考えられる理由をまとめてみよう。
Markus “Notch” Persson氏、『Minecraft』をSteamで配信しない理由を語る | Game*Spark – 国内・海外ゲーム情報サイト
Notch氏、Steamで『Minecraft』を配信しない理由を再び語る | Game*Spark – 国内・海外ゲーム情報サイト
・Notchはオフライン環境は弱い面があるもののSteamを素晴らしいゲーミングプラットフォームだと褒めている。
・Steamで「Minecraft」を売ることはそのIPについてできることに大幅な制限がかかってしまうことを表す。
・例えばDLCやパッチを独自に流通させたいゲーム開発者にとって強い不利益性がある。
・「Minecraft」ぐらいの知名度になるとSteamプラットフォームに頼る必要性がない。
・Steamを運営するValveに大きなロイヤリティをわざわざ払う必要性もない。
・独自の拡販ルートが開拓されておりあえて戦略上Steamを選択する必要性がどこにもない。
疑問なのは「Minecraft」がMicroSoft傘下のIPになってからもそのSteam配信の動静に動きがないということだ。Notchは上述のように答えているもののNotch自身もうすでに「Minecraft」からは遠ざかっていて無関係であることは既に述べた。すべてをMicroSoft側に売り渡してしまったので関係はなくなっている。上述の二つの記事も十年以上前のものであり最新のものではない。憶測の域を出ないがNotchが残した大きい功績とともに具体的な理由はいくつか考えられるだろう。これを発展的に考えてみよう。
・Notchが去った後も「Minecraft」は独自路線を敷き続けていてその方針には大きな転換がない。
・むしろMicroSoftのIPになった後だからこそ自社ストアやXboxアプリに強い拘りが依然としてある。
・JAVA版とBEDROCK版の違いがあるからこそSteamという単一性のあるプラットフォームに参入して生まれる混乱を避けたい。
・例えばアカウント管理ひとつとってもSteamアカウントとのリンクなど大きな混乱が生じる恐れがある。
・MicroSoftのブランド戦略上の判断や経営上の判断がある。
・わざわざSteamに参入してまで他のサンドボックスゲームという競合と競争する必要性が少ない。
一番納得いく説明は「Minecraft」はその販売依頼独自路線を貫いてきたということだ。このIPは独自の拡販ルートを持ち教育造形などの分野で大きなメリットと恩恵をもたらし続けてきた。だからこそMojangがMicroSoftに買われたのちも「Minecraft」はSteamで販売されない。またソフトウェアの性質ゆえの特性もある。JAVA版とBEDROCK版の違いが一番のその象徴だろう。いわばマルチプラットフォームだからこそパッチを当てるのにも複雑な構成がこのIPには存在する。Notchが「Minecraft」の経営判断上いるかいないかはまったく関係性がない。いなくてもいてもそのソフトウェアとしての性質は確固たるものがあるという説明が一番簡単なものではないか。