Management at university hospitals is tough. It’s even tougher among national university hospitals. Why is this?
朝日新聞の社説でも裏付けが取れているが、全国の大学病院の赤字率が全体でおおよそ七割を超えているという(朝日新聞)。明らかに、状況は危機的だ。同社説によれば、日本には、国立・公立・私立三種の数合わせると81もの大学病院が存在するという。そのうちの七割だから、50以上程度の大学病院が、赤字に陥っている計算になる。中でも、国公立大学病院の赤字率は、その凄惨な状況を照らし合わせる。GemMedの統計によれば、国立の71.4%・公立の87.5%・私立の64.5%が赤字経営になっているとのこと(GemMed)。単に数字だけを見れば、公立>国立>私立の順で赤字が立っている公算になる。
まず、大学病院全体の統計から見てみよう。これも、GemMedの同記事から引じる形になるが、大学病院でも収益は増えているのがポイントだと、私は思う。問題なのは、増収よりも支出の増加のほうが激しいことだ。わかりやすいのが給与費だとかの、人件費だろう。委託費を除けば、この給与費は、2022年度から2024年度にかけて7.0%増しているというのだ。他にも物価高騰(インフレーション)の問題もある。同スパンの医薬品費も14%以上増しているほか、診療材料費も14%以上増している。もうちょっと詳しくて見ていくと、大学病院経営の実態がわかる。
国立大学病院でも、大学病院全体を見たときと同じように「収益増<支出増」の構図は、変わらない。12病院が黒字・30病院が赤字に分かれている。この国立大学病院の赤字30病院のみの赤字額合計は、364億円にも上るという。公立大学病院も同じ構図で、1病院が黒字・7病院が赤字となっている。赤字7病院のみの赤字額合計が103億円にも、上っているという。私立大学の大学病院はまだましなほうで、11病院が黒字・20病院が赤字。赤字20病院のみの赤字額合計は469億円。要するにどの病院も「高コスト体質から抜け出せていない」わけだ。では、なぜ、私立大学の大学病院はまだマシなのだろうか?
これはJK(常識的に考えて)、納得のいく答えが既に出そろっている。まず、私立大学の医学部は高い授業料を、学生家庭から徴収できる(ダイヤモンド・オンライン)。経営的自由度が、高いわけだ。これはソラジョブを見てみれば、ほぼほぼ同じことが(同じニュアンスで)書いてある(ソラジョブ)。トップダウンの力が強くて裁量性が高い。国立系にはそれがない。例えば、高い機器を買う(設備投資)にしても、私立は、所謂、お上の御意向を伺く必要がない。私立であるがゆえの機動力がある、とソラジョブの記事はかねがね指摘する。都心への立地の問題・休養日の問題などにおいても、私立大学病院は裁量性が高い。
また、専門性に特化しているのも、私立大学病院の特徴だろう。順天堂などが、ブランド力を活かし、高いリクルート力を持っていて、人材を集めやすい。また、(きれいごとではなくハッキリ言っておくが…)その分医療的に裕福な患者・家庭も多い。OBからの寄付金などにおいても、裁量性は高く、自由な診療体制を敷くことができる(日経メディカル)。総じた結論を言うと、病院は規制と反規制の間で、揺れ動く存在なわけだ。その中で、裁量を持って独自色を打ち出せる、稼ぐ力のある病院は、自然と私立大学病院に収束してしまう…各種メディアの報道を見て、私はそう感じた。
では、すべての国立大学病院がダメで赤字続きなのか?というと、そういうわけでもない。きちんと、黒字経営を守っている国立大学病院もある。それが、広大大学病院である。地道な工夫が実を結んだ例。この試みに関しては、東洋経済オンラインの記事に詳しい(東洋経済オンライン)。記事によれば、経営が苦しいのは、広大の大学病院も同じだという。データで経営状況を可視化することで、経営を改善できていることがデカくて、かつ、高コスト体質からの脱却施策も功を奏しているという。購買交渉で優位に立つための、専門スタッフを雇用しているという。また、人材不足が深刻化している外科医に、高いインセンティブを与え、払うべきところに払うことで好循環を生んでいる、とも。
広大の関係者も言うように、(特に国立の)大学病院の経営は苦しい。広大の試みでもってしても、黒字幅が縮小しているというのだ。関係者が曰くところによれば、大学病院経営には特効薬はない、という。小さくても、やれることを懸命にやるしか、病院経営の光明は見えない…そんな残酷な事実が見て取れる。私は、大学病院というと、社会の上層・花形・エリートという意識がついてまわって考えていたが、それはドラマの中から感じられるだけの、おとぎ話に過ぎないことが、今回本記事を書いていて分かった次第。病院経営だって企業経営と同じく相当大変だよな…端的に言ってしまえば、まさに、そういうことなのだろう。
