「ストリートファイター6」が優れている点…それを単刀直入に言うとイベント性だと私は思う。例えば「Evolution Championship Series」(以下「EVO」という)の主要種目になっているのは周知のことだ。なんたって格ゲーで世界一を決める大会なんだから。他にもいくつか主要イベントはあるが特段私が注目しているのが「REJECT FIGHT NIGHT」(以下「RFN」という)である(これについては山岡によるnoteに詳しい)。
私が思うに「ストリートファイター6」は「EVO」の種目に採用されているからこそ優れているとは思えない。これはかなり複雑かつ厄介な捉え方だがこの格闘ゲーム競技大会の持つ課題はさらに発展的に考えることが出来ると私は感じている(そして「ストリートファイター6」はそれをクリアーしている)。結論から言うと「EVO」に採用されているのはもちろん凄いことだがそれ以上に「RFN」に採用されVTuberなどがイベントに参画している点が凄いのだ。さてこれはどういうことだろうか?
私はこのモデルを次のように作図し説明する。まず規模の問題が先行するだろうが次点で考え出したのが主任参加者層というモデルに関する特徴についてだ。まず規模の問題においては「EVO」が「RFN」を優に凌駕するだろう。だが参加者層の多様性という限定的な論理においてはこの様相は逆転する(右図はこれを表している)。無論観客や出場プレイヤー数では「RFN」は「EVO」に到底及ばない(左図)。だがこのイベント企画は参加者の多様なありかたというONLYな点では「EVO」も凌ぐ企画性がある。


先述したように「RFN」にはVTuberが参画している。量的には「EVO」の方が上だが質的には「RFN」のほうが上のカバーリングを持っているともいえるのだ。だから「EVO」は「RFN」を含有するのは間違いないがその状況が変われば「RFN」のほうが「EVO」を含有するという判断もできるはずなのだ。この様子を山岡のnoteは次のように指摘する(上述のURLより引用)。
スト5最後の最後の大会、TOPANGAワールドチャンピオンシップをときどが完全勝利したが、その最中、数日後に控えたスト6の発売からたった数日後、6/9にREJECT主催でプロとストリーマー混合の大会が行われることが発表された。「REJECT FIGHT NIGHT」です。超有名ストリーマーたちの参戦と並んで注目されたのが、今まで(ゆっちょ以外)あまり絡みのなかったVtuber界隈との本格的な顔合わせ、それもウメハラのチームにぶち込まれるという衝撃であった。特にVTuber絡みはミルダム時代、某プロたちが陰湿なイジメみたいな形で個人系VTuberに迷惑をかけた前例があるだけに、それも知る一部視聴者等の間に緊張が走ったが、さすがにウメハラは(当たり前の話でもあるのだが)大丈夫というか、互いにリスペクトと前ステで衝突どころか予想以上に盛り上がり、また各ストリーマー使用キャラのコーチにプロゲーマー達を招集したことも盛り上がりに一役買った感がある。このコーチにガチンコのプロという路線は現在も大会の度に行われており好評となっている。
端的に言うとこれは逆転の現象である(上図もそれを表している)。本来VTuberがプロゲーマと同じような環境で遊びその様子を配信するということは考えられなかった。だがユニークなコラボレーションを始めとして「ストリートファイター6」はエンタメ性に優れすぎているがゆえこういった配信イベに親和性が高いわけだ。これが冒頭述べたイベント性の高さである。
ここまで来ると自然発生的にゲームの持つ企画要素が次々と派生していきゲーム自体が進歩していくわけだ。そしてオンラインゲームとして重要な要素である具現的な飽きられないコンテンツになる。これは格闘ゲームとしては本作と双頭といえる「鉄拳」シリーズでさえできなかったことだ。なるほど面白い!ウメハラがあと数年単位は遊べると配信で言ったように「ストリートファイター6」はだからこそ無限の可能性を秘めているゲームなのである。