私がゲヲログ2.0で既に語ったようにリアルタイムストラテジー(RTS)というゲームジャンルはその衰退が近年著しい。これにはいくつか原因が考えられるがもう一回それを復習してみてそこから新作RTS「Grit and Valor – 1949」にかけられたリアルタイムストラテジーゲームジャンルへの最後の希望を語ってみたいと思う。このゲームはインディーゲームだが限定的なマップ構成と限定的なユニット構成によってジャンルを更新する可能性がある。ではこれまでの大局的なRTSはなぜ大勢ウンチになったのだろうか?
操作量の問題
操作量が多すぎてショートカットゲームになっていることを指す。プロがやってるところを見てもまったく原理どころか原則でさえわからない。一体何やってんだ!っていうところでゲームが進んでいる。見ていてつまらない。視聴者は高揚感もなければ理解力も示せない。韓国ででさえ「StarCraft」のプロシーンは死んでしまった。同分野のリーグ・プロゲーマーは立場追われる形でキャリアを終えなければならないだろう。NHKの番組でも取り上げられたことがあった業界だったもののそうそう世の中の進歩は遅くなかった。RTSが見限られるのも時間の問題だったのだ。まさにe-Sportsが生んだ悲劇である。
AIの発達
AIが発達して人間よりも高い操作量を難なくこなすようになった。AIが画面から判断できる方法論で人間と同じ肉眼の環境でやっても人間のプレイヤーはAIに勝てない。画面の裏の情報・隠されているCOMのみが受け取れる情報がまったくなくても人間以上のプレイを示すようになった。人間の反応力ではAIプレイヤーに勝てない。かつてはGoogleの研究テーマにもなったけどノウハウはもう枯渇していると言わざるを得ない。AIの発達はRTSプレイシーンでさえ優に克服してしまった。むしろRTSはAIの盛大な実験会場でありその会場はもう役目を終えたのだ。
MOBAの台頭
MOBAが台頭していることもあるだろう。「League of Legend」や「Dota 2」といったゲームのほうがエンタメ性が高く面白い。究めがいもある。限定的なマップで限定的なユニットだからこそできるACTとRTSの融合が純粋なRTSを超越したのだ。イノベーションはRTSを通り過ぎてMOBAを対象とするものになってしまった。「Multiplayer Online Battle Arena」の頭文字を取ってMOBAだ。時代はMOBAの世紀。RTSはMOBAに飲み込まれてしまったんだ。
決定的な超人気作の欠乏
ジャンルを席巻するだけの超人気作がない。かつて有志による国内リーグがあったIPの最新作「Company of Heroes 2」はクソだったし名作とされる「StarCraft」の開発元Blizzard EntertainmentですらRTS分野復権のハードルを自らの失態で上げてしまった(内部抗争問題もあったし肝心の「StarCraft 2」にはあんまり希望が持てないというのが現状)。RTS参入へのハードルを押し下げると期待された「Halo Wars 2」もウンコな出来だった。ウンチなゲームジャンルなのだ。
ディスっておきながら…イイワケ
…とこっぴどくディスっておいておきながら打開策がないわけではない。現にBlizzard本体からは「Warcraft 4」の噂が絶えない。Microsoftは「Age of Empire」の新作で巻き返しを図る。ユニットベースで出兵するシステムの「Total War」シリーズなど新しい作風のRTSもある。今回紹介した「Grit and Valor – 1949」も「Company of Heroes 2」の限定的マップ&限定的ユニットという新たなRTSの概念を本格的にイノベーティブに更新するかもしれない。
このゲームは限定的なマップの連綿たる構成によって戦術方針が策定される。あとユニットも崩れたらその時点でオシマイではなくローグライクRTSというリプレイ性もある。つまりこれまでのRTSの持つ問題点をブラッシュアップして構築し直した新作のRTSというわけ。その意においては厳密にこれまでと同じようなRTSとはいえないかもしれないが。冒頭述べたように本来のRTSの概念が復権することはもう難しいのかしれない。ゲームというものはイノベーションの源泉であり元来衰退と勃興を繰り返すそういうものなのだから…