ネクストAI時代で生き残るには名称独占資格(ただし現場ガテン系に限る)を取れ


While AI rapidly automates digital intellectual tasks like law and finance, it fails to replicate the physical dexterity and sensory-motor skills required for skilled trades—a reality reflected in Moravec’s paradox.

Consequently, highly paid, legally protected blue-collar professions like plumbing and infrastructure management are becoming the ultimate career safe havens.

The true indispensable workforce of the future consists of “hybrid professionals” who combine analytical intelligence with the physical capability to navigate real-world chaos and assume ultimate legal responsibility.


めっちゃくちゃ古い記事で恐縮だが、2018年の紙屋研究所の書評を読んだ。副エントリタイトルに「今後の新しい雇用に耐えうるのはむっちゃ知的な訓練を受けた人か、めっちゃコミュ能力が高い人では」とある。その中で、紙屋はこのように(その副エントリタイトルと同じように)言う。先に言っておくが、これは大間違いだ。

 AIは仕事を代替するけども失業は増えるのか?みたいなことを考えているときに、日経の社説を読んだ。

(原文にはこの部分に日経の記事引用が載っているが孫引きになるので省略)

 740万-500万=240万人は失業なのかなーとぼんやり思いつつ、新しい「500万人の雇用」っつって言っても、それはむっちゃ知的な訓練を受けた階層か、びっくりするくらいコミュニケーション能力が高いハイパーな人材じゃねーの、などと白けてみる。むっちゃ知的な訓練。例えば大学院出るのは当たり前みたいなそういうやつ。ハイパーコミュニケーション能力。コミュニケーションのお化けみたいな人。職場に1人いるかいないかみたいなすごいやつ。

澤宮優・平野恵理子『イラストで見る昭和の消えた仕事図鑑』 – 紙屋研究所より引用

面白い意見だが、実用耐久性はあんまりない記事である。実は労働市場でAIに代替されやすいのは、弁護士とか法曹とかである。所謂エージェントAIが強くなり、従来考えられてきた肉体労働がロボット労働に取って代わられるっていうのが間違っているという見方が最近強い。フィジカルロボットテクノロジーは相当難しい技術と人体の汎用性に代われるだけの廉価性が必要になる。

AIが強いのは間違いなく意思決定の部分であって、今後、研究職含む知的労働の部分のほうがAI代替が進むのだ。例えば、アメリカでは今税理士の道をやめる高級エリートが多くなっている。では、彼らがそのポストキャリアにて何になっているか?というとなんと職人になっているのである。配管工や機械取付工である。

これは、ロボティクス工学における概念、1980年代に出てきた「モラベックのパラドックス」に準じた自然発生的な現象だ。正確には違うのだが、初歩的な捉え方をするとこのパラドックスはこう解説できる。【人間にとって難しいことは、実はAIにとって極めて簡単・また人間にとって簡単なことは、実はAIにとってすごく難しい】と。どういうことか?

弁護士の契約書レビューや税理士の資産計算は、データがデジタルで完結している。それがため、(NVIDIAが開発するようなチップを埋め込んだソフトAI)エージェントAIにとっては実は親和性が高いのだ。一方、現場ごとに状況が全く異なる配管工や機械取付工はこれらエージェントAIは代替できねえ領域なのである。

かねてよりこのニュアンスの記事はゲヲログでも度々書いているのだが…コストの問題もある。フィジカルロボットを作るには、視覚認知・触覚フィードバック・臨機応変な物理操作が必要になる。それを数万円~数十万円で量産できるコスト構造が必要になるが、これはまだまだ先の話なのだ。SLAMの機器を買っただけで10万は下らないから、廉価性が担保出来ないのである。