だから、この分野でキャリア転換するエリートたちがアメリカでは増えている。税理士や法律事務・コンサルタントやプログラマーといった職種を離れ、ブルーカラーの職人(配管工・機械取付工・電気技師など)を目指すエリートが増えている背景には、こうしたAIの進歩状況があり、キャリア生存戦略があるのだ。また、仕業で培った能力を援用的に(現地営業とかに)活かせる点もメリットだ。
また、こうした問題はAI側の抱える参入障壁が高いだけではない。AIに任せて社会インフラの最終チェックまで行わさせると「AIによるミス」が発生するようになるだろう。つまり、人間の現地着眼性だとか名称独占性とは噛み合わないのだ。物理的なインフラ(水道・電気・建築)の修理や設置には、現地で役立つ名称独占資格や数年単位の実務経験が必要なことが多い。
AIがどれだけ賢くなっても「物理的に現場に行けないor行っても現場の最終確認はできない」ため、職が守られるのだ。それをクリアーするには国会で法律を大幅かつ細やかに改正する必要が当然生じる。なんでも逆転の現象が出ているわけだ。これはフォークリフトの作業一つとってもそうだ。ちょっと複雑な経路になっただけで、安全性を完璧に担保できるフォークAIが果たして簡単にできるか?
だからこそ、アメリカでは高い報酬が実現している職域は現在、配管工や電気技師なのである。一般的なホワイトカラーやシルバーカラーのそれを大きく上回るケースが続出しているのだ。理論面でも実用実証面でも、高度(と思われていた)職域と低度(と思われていた)職域が逆転する(というかしている)のである。
今、労働市場で本当に生き残っている「知的労働」とは、従来から思い描いていた抽象的なものではなくなっている。「AIが出してきた複数の意思決定案を、現実のドロドロした利害関係や物理的制約と擦り合わせて、最終的な責任を負う覚悟(リスクテイク)」する領域だけがAIに最終代替されるのである。「知的労働者ほど早く代替され、肉体を酷使する汎用的な職人ほど最後まで残る」わけ。
ゲヲログの片割れが、いまさら、乙4・高圧を取ろうとしてるのもここに理由がある。生き残るのは、マーチャンダイザーなり、ガソリンスタンドや水素スタンドの技能的管理者だとか、安全責任者である。さらにより強力なのは、ホワイトカラーやシルバーカラーの基礎領域をおさえつつも、ドロドロ感あるブルーカラーの職域に、かって仕事で得た知性を援用できる特定の技能者たちなのだ。
