またいつものように
— 新田 龍 (@nittaryo) September 20, 2024
「大企業は内部留保を溜めこんでばかり!」
と煽っている人たちがいるようですが、知らないで騒いでいる人はこの機会に知って頂くとともに、分かって騒いでいる人は世論をミスリードする害悪な存在なのですぐに滅んでください。
「大企業が内部留保を溜め込んでる!」… pic.twitter.com/cc6UgRhMvG
今朝読売新聞のトップ記事を読んでいて驚いた。読売ですら今この期に及んで「内部留保がうんちゃら」「企業がこれをため込んでいて設備投資に十分回っていない」というような”ニュアンス記事”を紙面のトップ特集のスペースで書いているのだ。読売は次のように書く(これは2025年11月27日木曜日の朝刊記事に乗っている文言でオンライン紙面でも公開されているようだ——俄かに信じがたいほどクオリティの低さを呈す記事だが疑いようもなく確かに今私のデスクの上に置いてあるw)。
工場や研究所を整備し、従業員の賃金が増え、消費も活性化する——。好循環が生まれているように見える。しかし、実は企業の利益はもっと速いスピードで増えている。法人企業統計では、24年度の経常利益は114・7兆円と30年の5倍以上になった。内部留保は637・5兆円で4・6倍に膨らんだ。企業が利益をため込み、十分に投資してこなかった姿が浮かび上がる。
さてこれを見てあなたはどう思うか?この際ハッキリ私の意見を言おう。【意味不明】である。てかそれを通り越して明らかに馬鹿の書いた記事である。これは冒頭に示したように新田さんがしかと言っていることが正しい。読売の当該”ニュアンス記事”は論理上破綻しているのだ。誤解を払しょくするためにはひとつひとつかいつまんで書く以外ないので新田さんのXポストをもとに今更解説するが…
内部留保っていうのはもう使ったカネのことも含んで言うのであって自由にへそくりとして使える余剰金的な意味で使われる言葉ではない。当然もう使ったカネに課税したら二重課税になるのだ。これは課税のルールとして明らかにおかしく当の内部留保をため込んでいる企業の経営努力をないがしろにしその体力を削ることになる。賃金などの人への投資に回せっていうけどそれももう払っているのが内部留保の残り分のこと。課税と同じくこれまた二重に賃金を払うことになるのは明らかにおかしい。
また内部留保は設備として保有している分も含めた総額のことなんだからどういった形で資産として残っているかはわからない。だから自由自在に組み込んでいろんなところに使える額面のことを内部留保っていうわけじゃない。現金だけで保持しているとは限らない。ヘッジ(衝立)に使うのかもしれないしもう重々設備に投資したものなのかもしれない。内部留保はこのように簿記的に言ってバランスシートの片側にあるもので既に情報公開も基本されてるのである。
私も大学院修士課程在籍時に阪大卒NEC勤めの経歴のある先輩院生から重々聞かされたものだが内部留保などないと同じなのだ。これらの単純な論理を勘違いして内部留保を企業・特に大企業がため込んでいるというゴシップ的な批判はあってはならないしましてや読売のような世界一の発行部数を誇る紙面がそうしたゴシップ記事を堂々と掲載している現状があること自体おかしいことなのだ。繰り返そう。「内部留保なんてない」のである。
そもそも元々の読売の編集委員でさえこんな初歩的なことには気づいている。恐らく編集委員のコラムレベルではこの矛盾に十分気付いているのに編集部全体では気付ていないのだろう。こんな初歩的な経済の話(というか経済の話以前のレベルである)でさえわかっていないのが読売のレベルなのだ。むしろ個別の編集委員はわかっているのにという意において組織として真逆に理解が進んでいるわけで実に誠に恐ろしいことである。以下も読売関係の個人ベース記事から引用させていただく。
法人企業統計によると、確かに会社の現金・預金は増えていますが、内部留保がすべて会社の金庫に貯め込まれているわけでも、銀行に預けられているわけでもないのです。一部はビルや工場などの設備投資や株式購入にも充てられていて、よほどの経営危機にでもならない限り取り崩す企業はありません。賃上げのために工場や本社ビルを売却するというのはあり得ない話です。内部留保はへそくりのようには使えないのです。
