たしかに「Civilization」シリーズはシミュレーションゲームの傑作だ。種々のシステムの高度な統合性・ヒーローシステムを上手くシミュレーションの中に取り入れた巧妙さ・そして戦争だけに留まらず文明を創り上げるという洗練された最終目的の持つ魅力・何よりも世界一と言われるゲーム自体の持つ中毒性…どこを取っても素晴らしいゲームであることは間違いないだろう。シリーズ最新作品として「Civilization VII」のリリースを待ち遠しく思っているファンも多いはずだ。そいつは今年2月11日にリリースされる見込みであり多くのシリーズ中毒者が待ち望んでいるブツだろう。
ただし「Civilization」シリーズはシリーズが進むに従いその批判の渦も大きくなっている側面はむしろ相当のファンの間であるからこそ否定できないと思う。例えば最新作ではヒーローシステム(指導者システム)が色濃く反映されていてゲームバランスに影響を及ぼしているし軍備の側面で各個大隊の取り扱い方が細かく指定されることで軍隊の整備の方法論が新作リリースごとにうって変わってしまう点などが具体的に挙げられる。簡潔に言うと人気なシリーズだけにそのシリーズリリーシングがゲームの時代と共に進むごとに新たな評価がされるがため批判の声も微妙な点でこそ強くなっているわけだ。
そこでお勧めしたいのが「Civilization」のクローンゲーム。Wikipediaにも記載がある通り選択肢は三つあって「Freeciv」「C-evo」「FreeCol」がある。この三つの中で一番有力なのが間違いなく「Freeciv」だろう。「Freeciv」は「Civilization」のクローンゲームの代表格でありこのニッチな分野のデファクトスタンダードだ。私もこの「Freeciv」の話題をDiscordでしたことがあったが「Civilization」シリーズの熱心なファンにも関わらずそのフリークローン版があることを知らないコアゲーマが多いことに本当に驚かされた。私はオフィシャルな「Civilization」シリーズファンならばこそ「Freeciv」のことは良く知っているものばかりと思い込んでいたのだ。
「Freeciv」はオフィシャルの「Civilization」と違い独特の魅力を数多く持っている。まず「Freeciv」自体はその理想形として「Civilization II」の発展形を取っている点に注目してほしい。「Civilization」の中でもナンバリング5と時同じくしてシリーズ最高傑作とされる「Civilization II」をモデルに取っているのだ。このころの「Civilization」はヒーローシステムを取り入れていないことに端を発しそのシステム面で「Civilization」最新作が右往左往した部分をあえて取り入れていないという特徴がある。例えば”偉人・宗教・公民システムがない点”や”資源&科学技術・ユニット・建造物の関連付けがない点”がFreeciv Wikiで指摘されている。あえてシンプルな系に富んだゲームなのだ。
このWikiが充実しているように実は「Freeciv」のファンは日本でニッチに多い。前項で言及した通りファンの絶対数こそ少ないものの「Civilization」シリーズ本家に飽き飽きしてしまったコアなゲーマーがこの「Freeciv」を日夜盛り上げているという構図が私のこのゲームに対する印象である。Discordのサーバーに日本人が集まって5chでの呼びかけの成果もあってか”「Civilization」に絶望した”また”シリーズの最新環境とは別味を知りたい「Civilization」ファン”が集って激戦をネット越しに繰り広げるわけだ(ネット対戦にもなんと100人単位以上!で対応している)。だからこそ「Civilization」のクローンゲーム「Freeciv」はすごいと思う。
確かに「Freeciv」のタイルセットが貧弱なのはウィークポイントかもしれない。だがここは間違いなく「Civilization II」のフリークローンゲームとしてのサダメである。貧弱なPC環境でも遊べるようにということで意図せずして設計されているだろうから仕方のない点なのだ。ユーザーインターフェースが不親切という批判もあえて受け取ろう。そこは「Civilization II」の良いところを受け継いでいるという見方が妥当なラインなはずだからだ。そういう意味で「Freeciv」は本家家元の「Civilization」(の最新環境)に絶望した「Civilization」シリーズのファンにとって最強のソリューションになってくれるゲームなんだと思う。手に取ってプレイしてみればその素晴らしさはシリファンだからこそ納得いくはずである。