Coffee Maker Gamesによる「Cosmic Destroyer」が見据えるSTGの過去・今・未来


Coffee Maker Games, led by Cliff Coffee, stands out for its handcrafted philosophy. Their new shooter, Cosmic Destroyer, exemplifies the creative freedom and universality of the STG genre. This genre combines geometric transformation with pure gameplay design. The first point is “the diversity of STG”. The second point is “the geometric expansion of STG”. The third point is “the simplicity of STG”. The last point is “the low language barrier of STG”.


Coffee Maker Gamesがdev/pubとなって手掛ける特徴的なSTG「Cosmic Destroyer」(EAアクセス発売日:2025年10月31日~デモ版配布中~)の存在感が私の中で日増しに増殖している。論より証拠。そんな注目作であるCoffee Maker GamesのHPにはゲーマーとして勇気づけられるこんな言葉が躍っているのだ。これほど素晴らしいスタジオの目算を見たことが今まで私はなかった。それぐらい私は感動した。

Welcome! I am Cliff Coffee, Coffee Maker Games is my independent game studio focused on crafting fun and compelling gameplay. By prioritizing the player’s experience in every aspect of design and development, my goal is to create fun and engaging moments to bring the joy and fun of video games to everyone! I take pride in taking the time to make everything I can by hand and learn the process, I don’t use generative AI to make assets. That includes everything from music, fonts, and code modules. Instead of using other’s premade assets or templates I prefer to make my own.

大意:ようこそ!私はクリフ・コーヒー。このゲームdevは独立系ゲーム開発スタジオです。スタジオでは楽しさと魅力のあるゲームを開発している。プレイヤーの体験を優先し誰もが楽しく没頭できるものを作りたい。ゲーム開発において手で作れるものはそうして生成AIをゲームアセットに使わない。モジュール・フォント・音楽といったどれもがそうあるべき!ゲーム開発は自前のものであらんとするそんなスタジオであってほしい。

Coffee Maker Gamesより引用

感じたところをつらつらと。STGは元来興味深いゲームデザインを有しているゲームジャンルだと思う。まずアセット的にさまざまな派生系が考えられる。ファンタジー・SFおよびその融合。「いろんなゲームがあっていいのだ」というゲーム設計の自由・ゲームの多様性を元より持っているのである。DEIとかを提唱する以前からその壁を乗り越えているような素晴らしいジャンルなんだ。このdevの方針「アセットに生成AIを使わない」という”ブランド”には存在価値があるのかもしれないとすら思う。

STGの持ちうるゲームシステムの多様性もこのように重要・貴重だがその他の特徴点もまたある。例えば「Cosmic Destroyer」には変化する地形・特に幾何学的に変化変容する地形が実装されている。このゲームを一目見て「ゲームとは幾何学的展開であるべきだ」という高度なゲーム制作論を実証・設計しているように思った。「ゲームの解釈はこうあるべきだ」という理想形がこのIPに至って実現しているのだ。一言でいうのならば「回転体」。こういった解釈は日本のdevであるRebRankにとっても重要な概念に発展しているはずである。

STGの持つシステムは多用途・多様性がありながらもその理解と解釈は比較的簡単である点も見逃せない。敵を撃ち落としゲームをクリアする。そしてハイスコアをゲットする。目的はどんなSTGであってもほぼほぼこれだけである。シンプル・イズ・ザ・ベスト。ゲームへの抽象的理解力だとか高い文章解釈能力が求められるわけではない。デザイン上の制約が少ない上に最も抽象度の高いゲーム形式でありながら同時に具体的描画力「具現性」があるのだ。

翻訳の壁も乗り越えやすい。システムがシンプルにまとまっているから英語力が高く問われないのも特徴だろう。未翻訳ゲームであって英語で文章が書かれ表現されていても求められる語学力は高度でない。そうした高度な語学力は不要なジャンルであるという論もまた貴重であろう。STGは「非言語的なコミュニケーション能力」に秀でたゲームジャンルでありどっちかというと言葉ではなく感覚でゲーム体験をプレイヤーが非中央集権的にdev/pubと共有できるのである。

これらの意においてCoffee Maker Gamesによる「Cosmic Destroyer」が見据えるSTGの過去・今・未来は深淵さすら垣間見える。STGは夢であり現実であり理想でもある。また人によっては達人級のSTGerという目標でもあるんだ。どれもを満たすゲームジャンルなのだ。ゲームを超えたゲーム…そんなジャンルが古典的なSTGというゲームジャンルに代表されていることこそがゲームを巡るなんとも「幸福な皮肉的現実」ではなかろうか?そんな思いを(勝手に)抱いた。【ゲームとは全方位】である。