ゲーム業界は苦境に立たされているのか?

AUTOMATONが記事で2024年末時点でゲーム業界が苦境に立たされていると主張している。具体的なsourceもデータも列挙されていて興味深い記事だ。だがゲーム業界で失業者が増えているのは別産業と比べても特段問題なのだろうか?私はそうは思わない。そもそも資本主義の常識ではレイオフは当然好景気の時にやるべきことだ。日系企業がレイオフをしないのはその伝統的慣習の問題もあるだろう。記事が伝える通り欧米のゲーム業界でレイオフがされている理由はやはり確かにあると思う。簡潔に言うとこの問題はレイオフのタイミングなのだ。

日系企業はギリギリの経営危機に陥るか時期が煮詰まってから経営的英断によってレイオフを行う傾向にある。だが本来レイオフとは経営危機や景気後退に直面したときに行うべき企業的判断ではない。日本人の感覚からして外れているが本来は好景気に時にレイオフはすべきなのだ。なぜか?話は単純である。不景気になってからレイオフするのはそのタイミングが遅すぎるからだ。経営が良い状態・企業体力がある状態では当然経営的に余裕がある。その後リセッションが巻き起こる前に加熱する企業的な本質活動に歯止めをかけなければならない。だから好景気の時にレイオフをすれば不景気の時に需要を喚起したりビジネスチャンスを創出するために運転資金を残して置ける。ビジネスチャンスは不景気の時であって好景気の時ではない。だから安易に拡大路線を敷く企業は半永久的には拡大しない。

さてゲーム産業はそもそも不景気に強いと言われる。エンタメコスパの問題・巣ごもり需要・収益モデルの多様化・文化的市場・デジタルトランスフォーメーションといくつもの理由があるだろう。だがこうした不景気に強いと言われる理由は実は経営に非常に敏感である必要性を裏付けている。エンタメコスパの問題は当然その消費者のニーズへの理解力を高く示さなければならない。巣ごもり需要といった外乱因子が介在する中では突発的な事案に対する危機管理の能力が求められる。収益モデルの多様化は綿密な計画性が求められる。文化的市場に相対する場合はカルチャーに対する咀嚼力が求められるだろう。デジタルトランスフォーメーションの問題にあたっては高度な技術マネジメントの能力が必要とされる。不景気に強いとされる要素はどこをとってもその不景気の性質に敏感すぎるほど敏感にならなければならないことを裏付けている。

だから欧米のゲーム業界でレイオフが現在進行形で好景気の今であるからこそ行われているのは自然なのである。世界的に見て珍しいことではないのだ。もう一度口を酸っぱくして言おう。企業が敢行するレイオフ(解雇)というものは好景気の時にやっておくべきことである。不景気になってからレイオフをするのでは遅すぎるのだ。この辺りに理解力が示せるかどうかは日本のゲーム業界でも同じことだと思う。レイオフは合理的な経営判断であり持続的な成長を促すタイミングの問題である。そこを逸する日本のゲーム業界は理想道では良い点・良い筋を押さえ行っていても資本的な経営現実の側面においてはあまりに常識はずれなことをやっているわけだ。ゲヲログ2.0でもかつてあえてスクウェア・エニックスに関する辛辣な記事を書いたがそもそもリストラとレイオフを勘違いするのももちろん問題である。

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