東京科学大学や聖マリアンナ医科大学がCAEBV(慢性活動性EBウイルス感染症)の治療方法に関する研究を古くから継続している。元々新井文子先生(聖マリアンナ医科大学教授)が東京医科歯科大学(現在の東京科学大学:旧東京工業大学)在籍時(在籍時は准教授)に行っていた研究が今も継続して為されている状況にある。研究室のHPによればCAEBVには有効な治療方法が確立されていないという。またこの病気は欧米にはごくまれにしか見られないものだという。そのため最先端の医療技術でもってしても発展的解決方法が存在しないのが現状だ。病気は比較的東アジア人に特有のものであり日本人がこの研究を達成し治療方法を確立する必要があるとのこと。
CAEBVのメカニズムを解説しよう。この病気はEBウイルスが白血球(中でもリンパ球)のT細胞・NK細胞に感染し癌化する病気である。その癌は進行しリンパ腫・白血病へと進行していく。元を辿ればT細胞・NK細胞は強力な免疫機能を持つ細胞であるがこの細胞がやられてしまうので病人には発熱・だるさが表れリンパ節の腫れなどの重大な炎症症状が巻き起こるという。このようにCAEBVは腫瘍の性質と炎症性疾患としての性質がある点が特徴だという。またそのメカニズムは不明でありなぜにEBウイルスがT細胞・NK細胞に感染するか?については詳細がわかっていない。現状この病気を治すために有効な手段は骨髄移植だけである。しかしながらドナーが見つかる患者が限られているのも事実。であるがため有効な治療方法の開発が待ったなしの状況なのだ。
CAEBVを巡っては声優の松来未祐(1977年生誕~2015年病没)がこの病気で亡くなられたことで一般に広く知られることとなった血液癌(白血病)の難病だ。没後メディアでこの病気を特集する動きもあって一般的な知名度が上がった経緯がある。つまり希少な癌病がこのCAEBVである。また彼女の没後「愛悼」と題した病気の啓発イベントが東京の科学技術館で2016年9月16日開催された経緯もある(現在イベントは終了している)。このイベントでは研究推進のための研究支援(募金)も募っていた。公募された募金はCAEBVの研究費用・日本骨髄バンクの運営費用・SNOW BANK PAY IT FORWARD(簡単に言うと病気に関する啓発のためのスノーボード関連イベント)の開催費用に充てられたようだ。
