イチローがMLBのブリュワーズを高く評価するゲーミフィケーション的理由


Why Does Ichiro Consider the Milwaukee Brewers a Top-Tier MLB Team?


イチローがブリュワーズを高く評価する理由

そもそもイチローは、現代MLBの野球に対してかなり批判的な姿勢を示していた。一時期話題になった彼の引退会見だが、そこでの発言は、サイン盗み問題を起こしたアストロズを直接批判したものではない。よーするに、イチローが問題視していたのは、野球における過度な「データ最適化」なのだ。これはデジタルゲームの世界にも通じる問題である。だが、一体全体どういうことなのだろうか?ゲーヲタが集い制作するWEBサイト:ゲヲログなりに咀嚼し、この項を解説したいと思う。

デジタルゲームの「予定調和」

例えば、ここに一つのデジタルゲームがあるとする。ゲームをプレイする前から、すでに勝利への道筋がある程度決まっている、と考えることもできる。これが、いわゆる「予定調和」に近い考え方である。つまり、あらかじめ望ましい結果が想定されていて、その結果に到達するための最短ルートを探る。これが、ここでいう「最適化」だ。そして、その最適化を実現するために活用されるのが、データや統計なのである。

説明のためのキーワード

統計的な傾向を分析すれば、将来の結果を一定の確率で予測することができる。もちろん、未来を完全に予測できるわけではない。だが、勝利につながる可能性の高い行動を選択し続ければ、結果として勝率を高められる。キーワード:データ最適化(Data Optimization)・予定調和(Predetermined Harmony)・統計的合理性(Statistical Rationality)・経験知(Experiential Knowledge)・創造性(Creativity)・不確実性(Uncertainty)・探索と活用(Exploration and Exploitation)…

勝利のためではなく勝率のための効率化

よーするに、過去のデータを辿り、統計的に有利な選択を積み重ねることで、勝利する確率を最大化できると考えるわけだ。この考え方を大前提とすれば、勝負に勝つために「何をすべきか」が明確になる。そして、その行動を忠実に実行することが、合理的な戦略になるのである。現代のスポーツマネジメント、あるいはゲームマネジメントにおいては、こうした統計的な合理性が大きな影響力を持つようになっている。

データ最適化の矛盾とイチローのスタンス

つまり、偶然性や個人の直感、経験に基づいた判断よりも、データによって裏付けられた行動を優先する傾向が強まっている、というわけだ。物事には必ず理由があり、成功への近道が存在するはずだ…。これが、データ最適化を重視する考え方の根底にある。だが、イチローは、このような考え方が野球を支配することに疑問を投げかけている。データによって勝ち方が最適化されるほど、野球から何が失われるのか?という根本的な問題である。それが、イチローのいう「頭を使う野球」という発想につながっている。

データ活用が諸悪の根源ではない

もちろん、データを利用すること自体が悪いわけではない。問題は、データが示す最適解に従うことばかりを重視するあまり、選手自身が状況を観察し、考え、判断する機会が失われてしまうことにある。あらかじめ用意された合理的な行動を繰り返すだけならば、選手は自ら新しい戦術を生み出す必要がなくなる。結果として、プレイの創造性や意外性が薄れ、野球が本来持っていた魅力まで損なわれてしまうのではないか。イチローの懸念は、こうしたところにあると解釈できる。