Keyの伝説的ビジュアルノベルゲーム「Air」~遠野美凪エピにみる生命と存在の輝き


Minagi, are you really not crying?
I didn’t want our final goodbye to be with tears…
I spent the summer hoping we could part with smiles
Because parting is an inescapable fate
So I’ll say this one last time
Minagi, goodbye
Goodbye, goodbye
Michiru may fade away, but the memories will remain with you, Minagi…
So, goodbye
Goodbye, goodbye… Goodbye, everyone
To the miracle God gave me, a final goodbye
To the days I received fragments of wings, a final goodbye


ゲヲログはアニメ「Air」は、駄作だと思っている。古典的名作つっても、別段本流の文学ジャンルのものじゃねえし…とまぁこんなこと言っても何もならん。非生産的なこと言っているってのは、ゲヲログ自身重々わかってんだけど。でも全部が全部ではなくて、遠野美凪のエピソードはマジで凄い描画だなと思う次第。なぜだろうか?

これね、一人の少女(正しくは少女”らしき”存在なんだが…)みちるが、高校生の美凪と出会って一つの別れと会合するっていうエピソードが、本編中にあるんだよね。ここの描画は、正直凄いと思うんだ。実はみちるは人間ではない。みちるは羽のかけらが奇跡的に人間というものに時限的に変わっている存在なんだよな。これを今から何十年前に既に書いていたというのは本当に驚き。

そうして、単純に曖昧なる存在が人間に奇跡的確率で形成し、ひと夏の間だけ美凪と出会う。そしてその一つだけの夏を越して単に分かれる。みちるはそれを明に知っている。自分の事だからこそ実は隠れがくれ知っている。それはみちるの孤独でもあり、ある種変な言葉だが友人性でもあった。だから、みちるは遊び相手として、美凪と出会い、忘れようがない思い出を美凪側に作るんだよね。

自分は消えゆく存在であることを知っていて、それを明かしてマジで泣く。このシーンを見てかってニコ動で印象的な※が流れていたことはゲヲログ自身絶対に忘れないだろう。※がどんなものだったか?こんな感じ。「これを見ると堕胎はやってはいけないことなのだとすごく強く思う…」っていうもの。納得だよね。生命の価値と命の萌芽がどこにありどれだけ小さいかは関係がないのだ。

つまり、堕胎はある種マジで罪であり、絶対におかしてはならない禁忌である、ということをこのエピソードは援用的に考えているように思うのね。これは凄く先駆的な描画だったし、「Air」という作品・アニメの中で一番現実的なところをおさえているようにも思える。生命の価値そのものは命の萌芽に起因しその代償と関係なく等しく・平等であるということをみちるは指示しているのだ。

まず、みちるは①「存在の条件」を最初から内包しているキャラクターである。これは実は珍しい方の創作の設定である。自分が消える存在であることを自分自身の存在意義として既に知っている。あまりに儚いのだ。最近の奇をてらったラノベやアニメでも見たことがないほど秀逸なキャラクターの設定である。これが第一。

次に、②「関係性の非対称性」がえぐいほど綺麗と言う点。美凪はみちるのことを単に友人と思っている。それに対してみちるは友人で子供的な存在であるのにもかかわらず、実は大人よりも命らしき存在の重みを知っている。この非対称性が「Air」において最も肝要な倫理的議題である。これは他のエピソードにも共通している点だとは思うが、かなり残酷と言っても良いだろう。

最後に、③テーマが抽象的なのに、描写は徹底して具体的である点。テーマはかなり抽象的で(というかKey全般的にそうで抽象的)、いかにもあり得なさそうな話なんだけど、描画はあまりに具体的である点。というのもみちるは実存の哲学の下に成り立っている点がそう。見る側は鑑賞ではなくて、体験としてこれを受け取らざるを得ない。これがラスト、マジで凄い点。

仮に、(※にあったよう・ゲヲログが飛躍していたとして)堕胎と関係がなくても、少なくとも【関係性を持つ】という人間の宿命を描いている。だからこのエピソードはマジ人生を通じてマジ重要なことをうったえているんだよなっては思う。みちるは命の在り方を巡る問を問うているのではなく、物事がどれと出会いどんなイベントを創り上げるか”命(存在)を懸けて”うったえているわけ。


実凪、ホントに泣いてない?
最後のお別れは泣き顔ではなく…
笑って追われたらと思って夏を過ごしたよ
お別れはいつだって避けられない運命だから
最後に言うよ
美凪、さよなら
さよならさよなら
みちるは消えるけど、美凪に思い出が残るから…

だから、さようなら
さよならさよなら…みんな、さようなら
神様にもらった奇跡の形に、最後のさようなら
羽のかけらをもらった日々に、最後のさようなら