博士の未来はホンマに悲惨か?
博士号取得者の末路が悲惨だとも聞く。これについても私はそう思わない。日本では博士号取得者のスキルは基本的に高く様々なキャリアパスを考えられる。例えばスタートアップに行く・研究開発型の中小企業に行くなどのキャリアパスが考えられる。概して給与体系は良いもののブラックな傾向にあり競争倍率も高い大企業に強く固執しこだわりを持つ必要は必ずしもない。ここを勘違いしているドクターが多いので「日本でのドクターは未来がない」という言い訳が出てくる。日本ほど中小企業が世界で最先端の研究開発をしている特許型の企業が多い国は欧米には存在しない。青色発光ダイオードも日亜という徳島の中小企業の行ったイノベーションだった。
民間企業で求められるのは応用性と汎用性である
生物系の大学院で就職の際に「私は稲の研究をしたので御社でもその続きをやりたい」などとバカな言をのたまう学生に未来がないのは当たり前である。まず大学院での研究を企業での研究開発の延長と捉えている事自体に大きな問題がある。双方の意図するところは全く違うのだ。生物系の大学院だからこそ多くのキャリアパスが柔軟に考えられるのにそれを自ら潰してしまっている。これではいくら強く勉強しても実績特に就職の実績として結実しないのは当然だろう。本来言うべきところは「稲の研究をしたからこそ他の研究にも意欲的に取り組める」という応用性や汎用性の部分なのだ。汎用的である生物系の良さを自分で潰してしまったからこそ無駄に悲観視している典型的な事例である。
多様な選択肢はいつでもある
勘のいい人は考えついただろうが他にもドクターを取った後に起業するというキャリアパスも考えられる。大学院の出自を活用し汎用性に強みを持つということに他ならない。今どき生物系の大学院でもプログラミングや英語のスキルは必須である。プログラムが組めれば様々なことが考えられる。IT企業に就職したりすることは当然できるしバイオインフォマティクスで独立する・系のコンサルテンシーを構築して作ることもできる。ドクターは夢のある話なのだ。英語力を活かしたりバックグラウンドを活かしてわしまるのようにキャリア系のコンサルタントになるという道もある。このように派生系が多く考えられるのは日本の多様性・汎用性のある大学系があったり企業系があるからこそのことなのでそこを見逃してはいけない。
日本の博士には未来がある
このように日本のドクター号取得者は未来に富んでいる。在学中にしっかりと研究に励み学会発表もしてスカラーシップを取って旺盛に活動すれば未来は十分開ける。汎用性を忘れず頑張れば当然効率よく就活もできる。私が工科型の大学を勧めるのはこうした確固たる理由や実績があるからだ。よく泣き言を聞くがそれは言い訳である。日本ほどドクターの取得者に寛容で将来性を強く認めている社会はないのだ。視野を狭く取り可能性の芽を摘むだけではそうした無限の未来を捉えることができないのは当然である。トントンの工科型大学でのドクター課程への進学ルートは実はマジで実現可能性が高い夢そのものなのである。