ヨシアキによるSFギャグ漫画「雷雷雷」


Yoshiaki’s “Rai Rai Rai” is a sci-fi manga that combines slapstick comedy with dark and depressing themes. The unfortunate protagonist, Sumire, always wishes for an ordinary kind of happiness. That’s why I truly hope she will eventually find happiness, instead of continuing the unhappy life she has lived until now.


「雷雷雷」とギャグセンス

「裏サンデー」経由で現在アプリ「マンガワン」で連載中のヨシアキによる漫画「雷雷雷」…いやぁフツーにおもれーです。小学館のいいところが出ているなーと思う。小学館って言えば「よふかしのうた」なんじゃあねえかなぁって思うけどぶっちゃけて言うとあれよかおもろい。SFアクション漫画なんだけどコメディータッチで描かれていたりころどころで唐突に遭遇する漫画内のイベントに工夫があって飽きさせない展開性に富んでいる。例えば第一巻を読めばわかるけどコレ本来はかなり重苦しいストーリーなんですよ。特に市ヶ谷スミレの境遇はかなり悲惨です。

不遇少女スミレ

スミレの父は投資家で一時期めっちゃ儲けた。調子に乗ってデイトレード(だと思うけど)していく中で莫大な負債を抱えてしまう(スミレは劇中で「税金と借金だけが残った」と語っている)。結果父が蒸発。母の暴力に耐えながらも後中卒で自立・害虫の駆除会社で働き始めて家計を助ける日々を送っている。弟がいてそれを支えるのに精いっぱい。だがある日エイリアンに遭遇し外科手術を行われ特殊な人体に改造される。もうここらでぶっ飛んでるでしょwぶっちゃけ。でもこれを収束できるだけのギャグセンスがこの漫画には多くあるとゲヲログは感じます。

SFギャグという異端児

例えばスミレがハヅキと出会いバイクをぶっ飛ばすシーンがあるんですけどこれ爆笑ものでしょう。ヨシアキはマジで顔芸の表現が上手いんです。特に必死になった時の顔芸が自然でありかつ人間味に溢れていて躍動感がある。キャラの表情だよねポイントは。これに感情を乗っけて描くのがめっちゃ上手い。若干作画は荒いですけどむしろそこがギャグ調のSFとの兼ね合いで新境地を切り拓いている。パイオニア感満載。たぶん先達となる漫画に着想を得ているシーンってあります。「寄生獣」とか「リンダキューブ」とか。

青春時代の埋め合わせ

スミレは変身できる体質になりその変身をまつわる複雑な環境に耐えながらも新しい出会いを重ねていく。そうしていくうちに人間模様が広まっていってスミレは死という究極の解決からは結果的には遠ざけられていく。社会を動かす実質的な暴力・パワーを得るわけですからね。そこには苦しみもあれば喜びもある。一番最たるものが青春時代を送れなかったスミレがハヅキと友人になっていくその段階段階でしょう。これは非日常的なSFものの漫画ですがマジで青春漫画っていってもいいのかもしれない。快走・疾走する漫画のコンテンツ内にそうした「過去の時代・再生の時」をめっちりと仕込んでいるのが妙に面白いんですよ。

スミレの願い

スミレは言に言います。「死にたくない」「高校にも行きたかったし」「本当は男の子とデートもしてみたかった」って。自分が死んで保険金が家族に支払われればそれで一件落着ではあるんよね。でもそれを本心から望まないスミレは純粋あり正直であり真面目な立派な一人の女性なのです。高校や大学に行けなかった・青春の代替として労働を選んだ…これはとても心に刺さるひとつの体現であり現実なわけですがそれこそがスミレを純粋でありかつ立派な女性にせしめるイベントだったのです。暗すぎる展開だよね。でもスミレは最後の最後には笑ってそれを片付けられる。だからこそこの漫画はギャグを超えた感動をガチで持つのです。

ACTシーンとの両立

一・二巻ではその辺りがすごく詳細に描かれていて妙にスミレに心情移入できるシーンが多いんですよ。ハヅキにもね。本当の友人に対してどう相対して付き合っていくか?モノホンの友人とはそもそも何か?命が失われるであろう過程においてそれに負けたとしても勇気をもってスミレはハヅキを助けます。またハヅキはスミレを助けます。すごくアンバランスな二人の関係においてですがね。対して三巻は新キャラ登場ということもあってかあまり動静はなくACTシーンばかりで若干退屈。ですが四巻に至ってまた人間と人間の織り成す模様というものがストーリー展開と共に追従されて行って面白いギャグセンスが復活する。「雷雷雷」はこの路線で十二分良いんじゃないかなって…そう思わされます。

まとめ

さて「このマンガがすごい!2025」オトコ編で7位に選出され「全国書店員が選んだおすすめコミック2025」で12位に選出されたというこの漫画。まとめると冒頭書いた通り小学館のサンデー系らしさが出ている漫画の唐突な展開に富んでますがその内実の部分ではより普遍的な人間の価値が色濃く出ているといえるでしょう。特にスミレの回想部分には謎がまだまだ多くまたその根幹にあるエイリアンとの関係などの謎もまた多い。これをどのように終着させていくかランディングさせるかというのはそうっとう難しいと思います。ですがゲヲログ個人としてはぜひ”スミレの幸福”という感動の話のスジで物語は決着させていただきたいですね。これからも読みますよ!「雷雷雷」。