格闘ゲームでコンボルートを開拓するにあたりその複雑性に難を感じてしまった方はいないだろうか?だがこれは避けて通れない格闘ゲームの要素でもあるし魅力でもある。コンボを習得することが格闘ゲーム最大の本質でありこれなくして格闘ゲームはあり得ない。今回は「なぜ格闘ゲームではその攻略に当たり複数の似たようなコンボルートを開拓する必要があるのか?」と題してその解説をしたいと思う。とりあえず次の動画を見てほしい。過去いくつか記事で解説しているブランカの事例がゲヲログ的にもいたって典型的なはずだ。
このコンボは上下段のキック後にODローリングを行いジャンプの後攻撃をさらに加えエリアルローリングを行うものだ。ただしこれと同じようなコンボに上下段キック後にODローリングを行いすぐにバチカ⇒さらに通常ローリングを追加する連続のコンボもある。よーするに相手にコンボの内容を事前に悟られないよう似ているコンボをいくつも習得する必要があるということをこのコンボ群は示している。次に下段の人形コンボの動画も置いておこう。これについてはもう解説する必要もないはずだ。単に高い火力のコンボを採用すればいいわけではないのである。意外性のあるコンボを身に着ける必要があるのだ。特にブランカでは。
これはテニスを始めとする球技に似ている。例えばテニスが上手い選手は打球直前までボールがフォアに飛んでくるかバックに飛んでくるかが判別できないようなテクニックに優れている。なぜだろうか?こういった選手は往々にしてフォアサイドにボールを打つときとバックサイドにボールを打つときでフォームがすごく似ているのである。フォームが似ていてフォームの最後のところだけ微妙にラケットの角度なりなんなりを変えるわけだ。このことで打球直前まで打球方向を相手に予知できないようにするのだ。格闘ゲームにおけるコンボルートもこれと同じメカニズムなんである。
野球でも同じだ。例えばプロ野球の投手がスライダーとフォーシームを同じようなフォームから繰り出せることは必須の技術だ。当然プロでは習得しなければならない。なぜだろうか?というのも打者は事前に相手投手のフォームを見れる。そこの微細な差異から瞬発的に変化球か直球なのかを推察しバットコントロールによって打球準備をするのだ。これに対して投手は当然のことだが同じような・かつ・出所のわかりにくいフォームを習得しようとする。相手が対策を練ってきたらそれを上回る対策を練ることは当然スポーティな世界では常識なのである。だからこそそこに競技性が生まれ緊迫感が生まれる。完全な選手はどこにもいないからだからこそスポーツの世界は(eスポーツの世界も含めて)魅力的なのだ。
いくつかのコンボルートを開拓することで同じ上段攻撃でも相手を惑わすことが出来るしそれが中下段にも当てはまればなおのこと複雑なコンボルートを開拓できる。単純なベクトルだけの問題に見えるだろうがそうではない。格闘ゲームも含めてすべてのスポーツシーンはいくつもの疑似コンボルートを見極めて使い分けなければならないのである。それが現実のスポーツの場合フォームだったりの相手を惑わす技術なのである。よく「格闘ゲームは複雑なじゃんけんになっている」と言われる。マジでそうなんである。グーグーチョキチョキパーパーといういくつかの交絡を用意してその読み合いに徹するゲームを格闘ゲームというからだ。バランスが取れてないとそれは面白い競技性がないということになる。だからこそ格闘ゲームにおける投げコマンドはなおのこと貴重なのである。