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— Moros Protocol (@MorosProtocol) September 2, 2025
結構よく出来ている。この手のローグライトFPSはいくつも事例があってどれもが優秀なゲームデザイナーのもと有望なタイトルになっているものが多い。そんな中でこのゲームの体験版をやってみた私なりの感想をまとめてみたいと思う。まずデザイン面から見ていこう。デザイン面は凄い出来である。幼虫のようなクリーチャーからバイオ風のクリーチャーまでよく作り込まれていてしかもそれがビットデザインのテイストで彩られているので相当興味深く見ながらプレイできる。3Dなのにビット調デザインで彩られていてこのデザイン氾濫の時代に新機軸が作れていると思う。グラフィックスの問題は超重要でそこにどうワクワク感をプレイヤーに抱かさせるかがここ数年の間ゲーム開発のトレンド的話題になっている。Steamでもこの点は相当重要である。唯一無二の体験性をプレイヤーにもたらすことが重要だからだ。このゲームだからこそ…という側面はゲーム開発者として忘れてはならぬことなのだ。
次にシステム面。ここは冒頭やっていた限りでは近接攻撃が重要視されているように感じた。特に序盤は弾数とか銃器類がないのでうまくやりくりしないといけないんだ。始めっからソードみたいなものを持っていてそいつと足蹴り攻撃がデフォでできるようになっている。ここが難易度が高い点で敵との距離感を図ってソードを振らないとダメージを喰らい続けてしまう。当然ダメージの比率が高いとローグライトのシステム上ステージ進行効率が極端に落ちるので注意しないとだめなんだ。あとドッジシステムがデフォで出来てドッジがあるからこそ近接攻撃要素の醍醐味が引き出されている。武装を手に入れても弾数の問題があるので適宜近接ソード攻撃は重要なシステムになっているといえる。そうそう簡単に弾丸は補充できないのだ。ここがこのゲームの序盤のミソである。パワーソード(溜め攻撃)も出来て単純にソードを振り回すだけのハクスラっぽさはあんまりない。近接攻撃要素のあるFPSは単調になりがちだがこの点で趣向工夫が出来ているのだ。
またハッキングや固定扉周りのシステムも見逃せない。ハックすることで隠れた扉を開けたりクリーチャー風の固定扉をリスクテイクしてダメージ喰らいながらソードでこじ開けることができる。こうすることでうまい具合にバランスの取れた武器が手に入る。特に重火器系はとてもこのゲームでは重要・貴重で火力の出る武装を手にしないとステージは一向に進行しないのだ。その点でレア性というか宝箱を開ける楽しみが溢れていてゲーム全体の陰鬱な雰囲気とコントラストを構成しているように思える。このあたりはまだ体験版ということでもっともっと進行に達成感を持ち合わせるために微調整が必要なんじゃないかなとは思うが。トレイラーにでてくるようなショットガンやオートガンを持つことができると爽快感は増すんだろうね。また武装にはマテリアのように当てはめられる特殊なカードリッジみたいなものがある。このシステムがあるからこそFPSとしてのゲーム性が拡張されている。リアルタイムな条件の中でそいつを達成すればパッシブな能力が自然と発揮できるのだ。基礎値はローグライトらしく周回でちょっとづつアンロックしていく感じだ。
ただ良いこと尽くめかというとそうでもない。Steamレビューにもある通りデザインはいかんせん素晴らしいのだがFPSとしてのテンポ感が若干どころか相当遅いのだ。これはブーマシューター系のゲームにとってはかなり致命的だと思う。ここは本作の爽快感を削ぐようなデザインになっていないかと思う。見た感じ「DOOM」「Quake」系でバインバイン跳ねて戦うシューターだと思っていると面食らう。このゲームはリスク管理を徹底してFPSするタイプのゲームなんだ。またUIも若干わかりにくい。曖昧なデザインがピクセルビット系のデザインに紛れていてどうすればゲームを効率よく進められるか?無駄なく進められるか?という点で貧相なゲームデザインになってしまっているかのように思うのだ。だからこそこのデモ版のレビューはやや好評になっているんだろうなと私は思っている。ポテンシャルは相当でかい。だがちょっと微調整が必要でここを忘れちゃうとローグライトFPSとして致命的な点をゲーマー自体に呈してしまう危険性があるように思う。
またストーリがいくつか希薄なところも公平に見るべきだろう。重厚なデザインがある一方で一本道系のストーリになっていて話ナラティブな系では相当弱い。ここもテンポ感に乏しい点に寄与してしまっていて修正を望みたいところ。総じて見ると良いところがいっぱいある一方で大きな視点からのテンポ感の点でゲーム自体が紛れ込んじゃうとこのゲーム酷評の嵐に苛まれる危険性があると思う。まとめてみると…デザイン・システムともに素晴らしい。また捻りがある点も他のゲームと差別化出来ていて素晴らしいと思う。だがゲームの大局的なスピード感やテンポ感にかなり乏しい面があると言わざるをえない。もうちょっと頑張ってから製品化したら良いと思う。トレイラー見た感じだと良さげなデザインだからそこを忘れないでほしいんだよね。だから本作はこうした事例・理由があって神ゲーになるか凡ゲーになるかクソゲーになるかはっきりしてくると思う。良い点は素直に褒めるが悪い点も指摘させていただく。