テクノロジスト:安野たかひろ率いる「チームみらい」の政治活動が活発化

テクノロジストの安野たかひろが率いる政治団体「チームみらい」がその政治活動を活発化させている。「100日プラン」と題した「国会議員一人でもできる改革案」に忠実に実行力を発揮しているのだ。例えば「みらい丸まる見え政治資金」と題した簿記管理公開WEBサイトを安野自身の政治団体「チームみらい」に関わる政治資金の流れに基づいて公表したり「現在国会で議論されていることやさしい言葉で説明」するという「みらい議会」というWEBサイトを公表している。その名が示す通りのアイデアに基づく実装だ。そのアイデアは至極簡潔だが実行力の点で非常に優れていると私は思う。

私も大学院の頃によく言われたものだが実行力や行動力のないデータサイエンティストに存在意義はない。例えばデジタル化において「ビッグデータが流行っているのでとりあえず予算つけました」とか「データ解析が流行っているので人材を登用しました」とかだけだと全く意味がない。「こういった課題がある」ので「これこれこういった解決策を持ち寄って」「実際に解決するメソッドまで考え作りました」と言えないと意味がないのだ。この意において恐らくデジタル担当大臣は安野たかひろ以外適任者はいないだろう。現状デジタル化といっても名前ばかりが踊ってしまい中身がスカスカだからだ。安野もいうように「チームみらい」のアイデアはローコストでできるものばかりでしかも具現性がある。

これは単に複雑で天才的なアイデアに基づいて実装すれば良いという類のものでもない。もちろんそうであってもいいがそれには民意がそこまでのレヴェルに達していないと意味がない。例えば高度な数学理論に基づいてアイデアを実装してもそれが有権者皆に響くであろう理解力を同時に求めないといけない。恐らくというより限りなくこうした数学的教養は日本の一般有権者にはないだろうからわかりやすく響きやすい形でこれらのサービスは構築しないといけないのだ。行き過ぎても行かな過ぎてもダメだがその中庸を安野はよくよく理解している。ブロックチェーンによる帳簿公開改ざん不能システム…民意の抽出プロセスのシステム…これらが一般レベルにまで落とし込まれていてエンジニアリングドライブの理念に見事に適合しているのだ。

これらの実行力を見ているとやはり日本という国は特殊な国なのだということがよくよく大勢の人々に印象付けられると思う。長らく停滞している政治的コンテンツにおいて新しい風を期待して良いのではないか?という気持ちにさせられるのだ。ひょっとしたら自民党の総裁でかつ総理大臣(総理総裁)という立場に高市が就いたのも裏合わせがあってのことなのかもしれない。少なくともそのインスピレーションはかなり正しいスパンの中に存在しているように私は個人的に感じる。確かに彼女の政治経済的定義はサッチャーには似ても似つかない「大きな政府」の路線だが単純にそう言えるものだけでないとも思うのも事実だ。矛盾なくテクノロジーを受け入れる土壌が安野によって培われ芽吹きつつあるのも何らかの具体的な理由付けが背後に隠れているように私には見映えている。

日本は長らく課題未解決型国家と言われてきたが実はこれは全く正しくない。確かに経済状況は著しくない。経済的のみならず政治的な構造改革も一向に進んでいないと言われることが多い。だが「もしこの国にコンピューターが端っから一台もなかったとしても結果はそうそう変わらなかっただろう」ことは想像に難くない。事実混迷している国家情勢に反して自動車は大概マナーよく走っているし新幹線や電車・航空機も時間通りに着く。外国人もこの日本という地に馴染めば偏見なく受け入れる準備が十分にある。その心情は少なくとも存在している。治安も悪くないどころか改善している。しかも日本がここ数十年の間苦しめられてきた低成長経済や低出生率の問題は今まさに先進国が体験している共通の問題なのだ。この意においてはピーター・ティールも言うように日本は課題先行体験型国家なのである。