「Desktop Mate」が1/8にSteamでリリースされた。このアプリケーションは基本無料ソフトとして提供され初弾としてそのマスコットキャラクターにあいえるたんが起用されている。売り文句は「あなたのパソコンにかわいいキャラクターたちが寄り添う次世代のデスクトップマスコットプラットフォーム」(Steamより引用)というもの。手っ取り早く言うとこのアプリケーションは伝説のフリーソフトウェア「伺か」の別の開発者による亜種版だと思ってくれれば良いだろう。ゲヲログ2.0も伝えるようにSteamにおけるこの手の先達としては「VPet」とその関連ソフト「VUP-Simulator」がある。
ただしこのマスコットソフトウェアは(上述のゲヲログ2.0リンクでも伝わるように)「VPet」「VUP-Simulator」ほど複雑なソフトウェア構成をしているものではなく単純にマスコットキャラクターをPCのデスクトップエリアで動かすことができるものである。最新の3Dグラフィックスで構築されていて新時代のマスコットソフトウェアとしてその新鋭の役割を担うものだという。いわばポスト「伺か」といっていいのではないか。既にDLCとなる二弾目のマスコットキャラに初音ミクが起用されていてこちらは価格2200円での販売となっている。結構要求スペックはそれなり高い…
導入するとデスクトップに表示されるキャラクターがPC画面上を動き回りポイント&クリックに反応して特徴的な挙動も示す。さらにアラーム機能も実装されていて使用者のPC事務作業を支援する機能も備えている。開発・配給ともにinfiniteloop(札幌にHQを置く日本の株式会社)の手によるもので基本キャラあいえるたんは同社のイメージマスコットだという。今後も新規キャラクターが適宜追加されていく予定。追加キャラクターは恐らくDLCとして有料提供されるのだろうと推定される。今後どのようなキャラクターが実装されるかに期待したいところ。
この手のソフトウェアはWikipediaも解説するようにプレ的な存在が多数存在するのが特徴だ。マスコットソフトとしては有名な「伺か」が一番の業界の先輩格かというとそうでもなくプレ「伺か」の先達の存在として「ペルソナウェア」(現「Chararina」)が挙げられる。このあたりのソフト開発を巡るいざこざに関しては色々と議論があるが日本人の作ったソフトウェアがその発祥ということで理解していいだろう。実は「ペルソナウェア」は舞鶴高専の学生が1993年に考案したシステムに基づき1998年にリリースされている超古株のソフトウェアでありその誇示するジャンルは”仮想人格エージェントを用いたヒューマンマシンインターフェース”というものだった。
この手のマスコットソフトウェアは特に「伺か」の頃からキャラクターをユーザーの手によって拡張できる点が革新的なところ。いわばソフトウェアコミュニティ巻き込み型の性質を持つ。この点でマスコットソフトはポストモダン的な意味合いを持つといえるだろう。ヒューマンインターフェースとして魅力的かつ革新的な点が古くからあるジャンルなわけだ。一番の古株である「ペルソナウェア」は2027年には足かけ30年に及ぼうとしている古い歴史がある。日本が先導したイノベーティブな影響力が未だに特異なプレゼンスを発揮している結実がマスコットソフトというジャンルだとも言えるはず。
萌え・擬人化といった同人文化的な背景が無ければこうしたソフトウェアも考えられなかった。またそうした同人文化的な背景を持つがゆえアニメ・癒やしなどといった一般的な要素に通じる観念があるのも事実だろう。日本ではこのような根強いバックグラウンドがあるからこそ本邦でこれらデスクトップマスコットキャラクターソフトは独自に発展したわけだ。そしてそれはIT技術と結びつき具現的な成果となったのだ。