転売が禁止できない3つの理由

経済評論家の池田信夫がホビージャパン事件のことを引き合いに出して転売屋のことを擁護している。その話は妥当なものだ。よーするに規制できない理由があまりにもでかいのだ。池田の記事を見ていったうえでその内容を確認し補するべきところを補してみよう。大きな理由として3つの要因を指摘できる。所有権・財産権の問題/需要と供給の問題/市場の分散性の問題の3つだ。

所有権・財産権の問題

池田が言うようにもの売り買いとは財産権の問題であり買ったものに対する所有権の移転である。消費者は所有権の移転を受けて買ったものをどのように処遇するか自由に決定できるのだ。これを規制することは難しい。なぜならばそれは法的な権利でありかつどこから線引きするかの問題があるからである。私も実際に特殊な小売業界をある程度見てきた側の人間だからわかるが実は小売会社側は再販を禁止していない。池田も言うように小売や商社なども基本的に転売屋なのだ。転売を禁止するということはこれらの企業の企業活動を制限するということになる。それは無理難題である。

需要と供給の問題

自由主義経済や資本主義経済の経済制度の中では基本的にはどんなものも需要と供給によって価格が決まる。この原則を無視して法整備を行うということは近代経済の性質を根本から無為にしてしまうことと同意である。だから音楽チケットの問題でさえ憲法違反(財産権の規定に反する)であると池田は言う。当然ある商品の需要が高まれば値段は上がるし需要が下がれば値段は下がる。この競争主義の意において定価で売らなければならない商品は池田も言うように限定されているのだ(書籍・雑誌・新聞・音楽といった著作物のみに)。また定価で売ることは違法ではないがそれを強制することは違法であると池田は言う。再販売価格維持行為は原則として違法であるからだ。

市場の分散性の問題

メルカリなどのフリマアプリが強くなっている現在のデジタルな自由市場環境ではなおのことだがこれ自体を規制する法整備はとても難しい。そういったプラットフォームの主体的な活動を制限することは難しいし消費者側すなわちプラットフォームの利用者側についても同じことが言える。例えばメルカリのアプリユーザを特定して転売を規制することはインターネットの仕組み上とても困難なことなのだ。市場システムが分散していてかつ消費者の特定が難しいデジタルな環境で転売を禁止することは制度上の問題と重なって技術的にほぼ不可能である。

もちろんメーカー側は対策を施すことも出来る。一人当たりの販売数制限を設けたりシリアルナンバーのようなものを商品の管理に駆使したりする試みがこのような対策の範疇に入る。例えば車などは商品の性質上転売しにくい財産になっている。車両は消費者が自由自在に売り買いできるものではなく事故の危険性につながる恐れがあるから一定の消費者特定が可能になっている。登録費用や税金あるいは保険料がらみの制約がこうした要因である。ただ車両商品のような規制性をプラモやゲームといった業界に強いることは現実的ではない。

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