「Conquistador」はかの生ける伝説的ローグライクゲーム「Spelunky」以来の傑作である。このゲームは裸の赤男を操作し深い洞穴を旅するローグライクゲームだ。ゲーム自体は間違いなく「Spelunky」に強い影響を受けている。だがゲームデザインやゲームシステムにこのゲームありきの独自色を色濃く出しているのでアレのパクリでは済まないほど個性的なエンタメに仕上がっていると言える。さて歴代のゲヲログのレビュー記事がさんざ認めるようにゲームにおけるグラフィックスは超重要である。なぜかというとこれほどの数のゲームがガンガンリリースされる昨今のゲーム市場で個性的な視覚的インパクトを購買層に与えることの重要性が高まっているからである。Steamで一見して魅力的なグラフィックスが実装されていないゲームはよほどのことがない限り多くの消費者の目に留まらないのだ。その点でまずゲーム「Conquistador」はとびっきり優れている。極めて個性的であるからだ。
ではグラフィックスのみが良ければ現代のゲーマーのニーズに答えられるか?というとこれまた難しいだろう。消費者のニーズは時代の進歩とともにガッツリ利幅を取る傾向に繋がっておりその内実も優れていないと優れたレビューを投下してくれない。口コミレベルどころか実利実地的な売上に単純には繋がらない時代に既にゲーム産業の総体は突入している。外見が良いのは当然のことだが中身の良さも重要なのである。つまりマルチプルな魅力をいくつも持っているゲームだけがこのご時世評価される。その条件にニーズにゲーム「Conquistador」は十分答えている。例えばこのローグライクゲームにはボス戦という特徴が存在する。歴代の「Spelunky」的ゲームにボス戦はなかったがあえて個性的なこの側面を紙ばさみすることで没個性的な罠に陥らないようにうまい具合に工夫がされている。では工夫されている点はそれだけだろうかというとそうでもない。
例えばトラップの発動タイミングが若干遅く初見死一発というダイレクトなインパクトのみに埋没してない点が挙げられる。ギリギリで目視した後に避けられるタイミングで様々なエフェクトが発動されるため学びがいのあるローグライクゲームになっているのだ。次は今よりも上手くなる!という確証が持ちやすいゲームになっている点は間違いない。「Spelunky」は確実に初見死から学ぶいわばある意味かなり酷なゲームだったがその諸条件を「Conquistador」は改善していると言える。それは基本攻撃アクションにも及んでおり絶妙なタイミング性が妙にゲームバランスの高さに寄与しているのは私も感じるところである。一言で言えばキャラクターの死から学びやすいゲームなのだ。
また他では冒険心をくすぐるゲーム性もこのゲームを紐解くうえで重要である。アイテムにはゲームのステージ進行をより推進する強力なものがあり宝箱を開けるワクワク感にあふれている。二段ジャンプや遠隔攻撃を実現するアイテムがその代表格だろう。基本的なムービングとしてはジャンプのほかに鎖攻撃がありさらにダイナマイト投擲と梯子設置がある。微妙な点で工夫というかチューニングといった方が良いか?ソイツが施されていてゲームのリプレイ性がとても高いのだ。何度やっても飽きのなかなか来ないローグライクゲームは今時とても珍しい。だが本作はシンプルかつ明確な回答をその疑問に対して有している。もちろんそのシンプルな回答を実装する中ではとても苦労する点も多かったことだろう。微妙な差異を顕実にゲームの表面に表現すること・私などのヘタレゲーマーにそれを感じさせることはかなり難しいことだからだ。ゲーム制作は理由があるからこそこの微妙な点で難しいのだということにまで逆説的な鈍感な感性が働く見事なゲームデザインと相成っている。
こうした理由があるからこそデザイン・システム・エンタメ性といった多面的な点で私はこのゲーム「Conquistador」を強く推薦する。「Spelunky」のあまりの壮絶な高難易度とシビアさにくじけた私ですら楽しくプレイできているのでこのゲームは間違いなく定価1520円の価値はあるはずだ。ローグライクゲームとはキャラクターの死によってのみ彩られるものではない。キャラクターの死後学ぶプレイヤーが実存的にいるからこそローグライクゲームたる意味があるのだ。このゲームはそのマネジメントが出来ていて細かな繊細さも持っている。かつそれでいて大味なゲームでもあるのだ。これを最強☆と言わずして何を最強と言えるだろうか。傑作である。