この話題はかなり難しい問題だ。会社をより大きくしたいならば事業拡大は必須だろう。だが次点でそれがMustなのか?という疑問が沸き上がってくる。ここに至って事業拡大という会社の方針は極めて難しい経営判断の問題とリンクする。世界に君臨する一流企業を作るのと永続的な運営を目標とする街工場を作るのとでは根本的に経営のやり方が違うはずなのだ。資本主義の中でいきる会社経営体制がどうあるべきか?という議題は極めて難しい問題でありそれがある種社会主義的な考え方を取り入れている以上バランスを取るのは個々の会社法人にとっても難度が高いのである。
繰り返すように前者・グローバル企業を目指す場合は事業拡大は間違いなく重要だ。グローバル企業は事業の成長を見込みそのために競争力を強化し戦略を練ることが求められる。革新的な発想でイノベーションを主体的に起こし会社の持続的な成長に寄与する積極的な姿勢が求められるのである。他方後者・地域密着型のようなスモールビジネスを目指す場合は事業拡大はあまり重要ではない。無理な拡大を冒険心によって行うことは経営の方針と合わずそれでもそれを無理強いしようとすると軋轢が生まれる可能性が高い。前者は間違いなく純粋な資本主義の名の下に行われる競争&成長の分野だが後者はむしろ修正資本主義とでもいうべきかのうように社会主義的な発想を取り込んでいるのだ。
事業規模を拡大するにあたってその経営リスクの問題は不可分である。投資や新規事業の開発に力を入れる経営者はグローバル企業でリスクテイキングを積極的にする必要がある。その分事業拡大に失敗する恐れも強まるだろう(もっとも事業拡大の対象成長分野で成功すれば事業の柱が増えるわけで経営リスクを減衰させる結果につながるポテンシャルはある)。企業が大きくなればなるほど組織は複雑化してより緻密なマネジメントが必須になるのも事実だろう。在りし日のGEのCEOが横川電機の社長をとても評価していたことは経営学の世界では有名である。