私が音泉に初めて出会ってからたぶん十年以上は経つと思う。生前の声優川上とも子のラジオから入ったのがきっかけだったと記憶している。インターネットラジオは当時デジタルラジオと競合すると言われて先行きがあんまり見えないという意見もあったころだろう。ましてや既存のラジオ局のサイマル配信の主としてradikoが巨大な勢力としてラジオ業界で台頭する中音泉がここまでのプレゼンスを発揮するとは思いもしなかった。今となってはそう思う。
音泉の魅力としてオリジナルな番組構成があると思う。とても個性的な番組が多くまた音泉の個性を活かした番組が強いコンテンツ力を持っているのでシンプルに魅力的である。十年前はそれほどでもなかったけどこのオリジナルな方針がより強くなったのか素晴らしいコンテンツに溢れている現状はとても魅力的だ。個性的な声優がパーソナリティーを務める番組も多い。そんな中本記事のタイトルも示しているように思うところがあって”ポルカドットスティングレイ雫の「このラジオに好きな⼈がいます」”を音泉で聴いてみたんだけど…いい意味でショックを受けた。めっちゃくちゃ面白い番組なのだ!
理由はいくつかあるがまずメインパーソナリティーのトーク力がすごく高いのはその筆頭となる理由事項だと思う。シームレスに話と話がつながるので聞いてて苦にならない。一見関係のなさそうな話題でも話の振り方次第で聴者とコミュニケートできるということをこのメインパーソナリティーは意図せずして意識していると思うんだ。だから番組全体が最適化されているように思える。効率の良い番組構成というのかここらはメインパーソナリティーのバックグラウンドにその理由があると思う。雫は(噂によれば)福岡大学の出身らしくこの大学は九州圏で有力な私大のうちの一つだ。彼女には英語力もあると聞いている。どうやらイギリスへの留学経験があるらしいんだよな。
英語力を活かしてゲーム会社のローカリゼーションがらみで活躍その後ゲームの制作に強く関わるようになったという。そのうち実際のゲーム制作の困難な局面に相対して”有能だった”という自分の才能を疑うように。努力に努力を重ねてゲーム制作で所属会社を回すようになっていったらしいと聞く。その後自分の異才さに気付き実際の消費者・カスタマーとコミュニケートできる市場分野に活躍の場を転移していった。それがポルカドットスティングレイとしてのアーティストへの道だったんだな。このバックグラウンドは確かに説得力がある。来歴に説得力があるし間違いなく強い魅力があるのだ。現にこのラジオ番組構成はとても素晴らしく出来ている点は先に絶賛して述べた通り。合理的なのだ。声優ではないパーソナリティーの起用という面でも意外な点を突いていて評価できる。
思うにラジオ番組の魅力はやはりメインとなるパーソナリティーの魅力次第である。話術が高く魅力的で面白くシームレスな流れで語ることのできるパーソナリティーの存在は必須である。その意において番組”ポルカドットスティングレイ雫の「このラジオに好きな⼈がいます」”はやはり優れている。今一番のラジオ番組を挙げろと言われたらばこれを挙げざるを得ない。第一回目の配信を聴き終えて私はラジオの持つ力を再認識させられその魅力がどこ由来なのかという点をよくよく意識できるようになった。音泉は特殊なSNに発展したnoteのようにかつてあった魅力をより強く色濃く表面に描画表現していると言えるだろう。radikoに負けないオリジナルコンテンツをインターネットラジオから。その姿勢の象徴たるものがこの番組とこの番組の持つ唯一無二の魅力なんではないかな。