タイルをヘクスに変えるというタクティカルイノベーション

Steamでヘクス系シミュレーションゲームが活況だ。現状賛否両論だが今後のアップデートに期待できそうなメジャータイトル「シヴィライゼーション Ⅶ」。またハピネットによる和製タイトル「ブリガンダイン ルーナジア戦記」も好調。数時間後に解禁されるヘクスストラテジーゲームでこの分野におけるインディー系の鏑矢となってくれそうな「Primal Fray: Prologue」まである。「Scythe: Digital Edition」だってセールスこそ微妙だがボドゲ原題の特徴を活かして高い評価を得ている。ヘクスとは六角形のマス目のことを表しこのマス目に従って進めるシミュレーションゲームをヘクスストラテジーとSteamerは呼んでいる。各タイトルについてちょっと精査してみよう。

確かに「シヴィライゼーション Ⅶ」はぶっちゃけ今のところ評判が悪い。だが多くのゲームアナリストが期待するようにアプデでそのゲーム性が大幅に改善されていくというのはほぼ間違いない。ゲーム開発者が相当鈍感で無能でない限り百以上の単位で適宜アプデが入っていくだろう。新システムは問題なく受け入れられているんだからUIなどの点で改善が進めば”非常に好評”を得ることができるはず。対して「ブリガンダイン ルーナジア戦記」はAAAタイトルと比べてメジャーどころではなくそのスタンスは微妙なところだが概して良ゲーという評価を得ている。キャラクターやユニットの個性に力を入れた日本のゲームIPがその装い新しくして作られた良作といっていいだろう。

インディー系の「Primal Fray: Prologue」はその名が示す通り序盤だけが無料公開されるタイプのゲームだと思うがこちらも日本語対応で配信されるらしくビジュアルに鮮烈な印象をもたせる今後に大きな期待を寄せられそうな一作だ。空中庭園のようなステージ設計を十二分に活用できるタイプのシミュレーション。タイルではなくヘクスの良さを活かしたシングルタイプのローグライクヘクスストラテジー৻( •̀ ᗜ •́ ৻)対して「Scythe: Digital Edition」だって高い戦術性が評価された傑作に準ずるヘクスストラテジーものだ。つー助教授が実況解説したので一躍有名になった面もある。一点気になるのはセールスが微妙なところだけだろう。

思うにヘクスというものはタイルよりも可塑性が高いものがあるはずだ。タイルの場合一タイルに対して四面が接するがヘクスの場合一ヘクスに対して当然接面は六面だ(辺の数が6だから)。だからこそその分ユニットなどの潜在的な可動性が強く移動力に強みがあるといえることが推定される。これはヘクス分野の代表的なゲーム「シヴィライゼーション」に始まりすべてのヘクスゲームに共通する項だといえる。その意においてタイルローグライクで惜しいなと思うのは(ゲヲログ2.0の頃から伝えているが…「Evertried」だろう。このゲームは”賛否両論”評価で現状あって”やや好評”な評価タイトルだがアイデアは間違いなく一流だった。もう一捻りあって工夫錯誤があったら爆発的なタイトルになるポテンシャルがあっただけに私は残念に思っている。

こうしたタイルゲームをヘクスゲームと比較すると興味深いテーマになると私は思う。タイルは古典的な移動モデルだがヘクスは古典的でありながら読み方がタイルのときよりもかなり複雑になるので常時その遷移に着目し続ける必要性が生じるのだ。移動や戦闘をはじめとするアクションに方向的多様性が生まれる。ヘクスに属する地形にも多様性が生まれるゆえユニット間の連携的戦術性もより高まるだろう。単にタイルをヘクスにしただけでタクティカルな側面が強まるのだ。ヘクスシステムは実は地味だがかなりイノベーティブな要素をターン制タクティカルゲームにもたらしているといえるのだろう。

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