「ゲーム版コミケ」の実現可能性について

アニメーションは制作費がかかる割に収益源となる柱が少ない。せいぜい考えられるのは配信サービス・グッズ展開ぐらいでゲーム産業とはその市場展開性の点で雲泥の差がある。ゲームも製作費はかかるがその分利益につながるヒット作を作れれば莫大な収入を得ることが可能である。さらにDLC配信・シリーズ化・配信サービス・グッズ展開と応用力の点でアニメの比ではないのだ。同じコンテンツ業者でも平均化された数字がはじき出されていないのが残念なところではあるが一番有力なソースが恐らくBBT大学院の谷口によるものだろう。比較してみよう。

次に、日本のコンテンツの海外売上のジャンル別の内訳をみてみます。2022年の日本のコンテンツ海外売上は合計で4.69兆円となっています。その内訳をみると、最も大きいのは、「ゲーム」で2兆7,780億円となっており、全体の59.3%を占めています。次いで大きいのは「アニメ」で1兆4,592億円となっており、全体の31.1%を占めています。以降、「出版」が3,200億円で6.8%、「映画・テレビ」が1,310億円で2.8%となっています。「アニメ」と「映画・テレビ」を合計した「映像コンテンツ」でみると、1兆5902億円(33.9%)となっています。

【データから読み解く】日本のアニメ・映像コンテンツ産業|オンラインMBAなら『ビジネス・ブレークスルー大学大学院』より引用

このデータはあくまで海外売上の内訳に留まるがJKゲーム分野のほうが利ザヤが大きいのは当然だろう。いくつかの生成AIに「アニメ産業とゲーム産業ってどっちが市場規模大きいの?」って尋ねてみたがどのAIもゲーム産業のほうが大きな市場規模形成を成し遂げるという見込みを語ってくれた。そしてここからが本題なのだが…なぜゲーム産業の方が大きい市場規模を持つ(と推測される)のにLANパーティなどのオフラインイベントが少ないのだろうか?ということだ。

確かにゲーム産業は同人系のイベントが少ない。これは間違いなく事実だろう。RTAイベントが唯一の主流でありそれですら限定的なファンによって下支えされているのが現状だろう。ましてや頻繁に日本でLANパーティが開かれるということを私は全く聞いたことがない。そういった代表的なイベントも聞いたことがないのだ。開発会議のような形式のもの・発表会のような形式のインディーイベントは多いがゲームそのものを楽しむLANパーティは少ないのだ。コミックマーケットのような大規模イベントに相当するものがないということだ。思うにファンの濃度が違うのではないか?という仮説は考えられる。

恐らくばコミケに参加するような熱心なファンは創作の追創作に強い熱意を燃やす傾向にあると思う。それは物語が存在しその展開性を追っていく中でライセンスに沿った新たな創作が認められるという分野に持つ情熱のことだ。小説・同人誌・音楽CD…何度も繰り返し同じコンテンツを微妙な色合いで機敏良く描き続ける。アニメーションの特性を理解しているからこそできることなんである。オフィシャルなアニメコンテンツ主がこうした多様化している二次創作を自ずと会社主体で行うのは難しい。この意においてその規模は世界最大級なのに実はコミケは機敏のマーケットなのである。

このような二次創作文化の実践をゲーム分野をテーマに同じことを行うのは難しいだろう。日本のアニメファンの中でのことと違ってコミュニティが限定されないし二次創作とは親和性が低い。アニメ産業と違ってオフィシャルなライセンスを黙認や許諾といった形で可能とするのは現実的ではない。あってせいぜいMODぐらいだろうしMODを作ってもそれがオフラインイベントで配布されるということは考えにくい。当たり前だがオンラインプラットフォームで配布されるのがMODの基盤だ。熱意の次にあるのがこのような市場の特性だろう。

一方でゲームがアニメ化されるということもまま見受けられるのでこの分野が決していつでも一方通行の市場なわけではない。インタラクティブっぽさがあるコンテンツとして比較・推移観察できるふたつの市場は常に影響しあっていると考えるのが常識だろう。そういうミックスコンテンツの時代に生きる我々が次に目にするのはゲームのコミケ化かもしれないのだ。今のところそれは現実性がないが将来にわたってそれがないということは断言できない。

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