第四章 SFアニメにおける兵器・第五章 SFアニメにおける人工知能
第四章では兵器論がまとめられている。高橋によれば人型兵器は実現が難しいとの見解なようである。なぜならばそれは大型の兵器兵装であって合理的な戦法に矛盾するからである。ただし条件付きである。ガンダムのような大型の人型兵器は実現が難しい。踏破性の面や運動性の面で問題があるからだという。キャタピラの汎用性はそれほどにまで高くスケイルの大きい人型兵器は設定的に矛盾を乗り越えるように作られている。
ガンダムの世界では赤外線センサーしか使えないという設定だが(ミノフスキー粒子散布下での戦闘環境)赤外線誘導弾は今後も進歩し続ける。例え赤外線センサーを使った遠距離兵器が使えなくても画像認識技術を用いて誘導する方法のミサイルや爆弾は存在していて現在進行形で研究開発が進んでいる。特にAIと画像認識技術の親和性は極めて高く遠距離誘導弾が無理な状況に追いやられることはありえない。兵器現実性と人型兵器の空想性を両立させるのは矛盾がある。
ただし小型のパワードスーツレベル…ボトムズのような…そういった陸戦兵器は十分実軍運用レべルにおいて有効性がある。現在も陸軍兵士運用のレベルではそういった新型兵器は運用されている。人の代替要素というのがひとつのキーワードだと私はとらえた。また高橋によれば既存のロボットアニメの戦時戦略を見るにあたりデータリンクの技術が軽視されているとのことである。次いでアニメの世界における核兵器の描画や巨砲兵器の描画についても記載があるがここは端折った。
続いて第五章だが若干蛇足な感がある。この章は「フレーム問題」を主軸としてその倫理的整合性を論じているがいかんせん筆者の専門はAIではないのでこの問題をどう解くか?という領域にまでは達していない。というよりかは現実のAIは「フレーム問題」を無意識のうちに解くほどには至っていないという現実の指摘があるだけなのでそこまで深追いする必要性はない章である気がした。人間は無意識のうちに想像力を働かせて予知力でもってして機敏に対応している。統計学を主として多くの物事をフレームワークの中でこなすしかない既存のAIには人間ほどの汎用力はないという。