読書記録

エンタメ

ラノベ「負けヒロインが多すぎる!」の新刊刊行予定日が発表~2026/1/19同日に絵師による画集も発売

A new short story collection of “Too Many Losing Heroines!” will be published on January 19, 2026. An art book by illustrator Imigimur will also be published on the same day. This art book will include a talk session featuring the author, Amemori Takibi, and Imigimur. “Too Many Losing Heroines!”—yes, we call this “Makain.”ゲヲログも長いことウォッチし続けているラノベ「負けヒロインが多すぎる!」の新刊刊行予定日が発表された。新刊は8.5巻という位置づけで短編集になるという。2026年1月19日に発売予定。ラノベの絵描画を担当する絵師:いみぎむる氏による画集も同日発売予定。こちらは「マケイン」の画集となる。この数字”8.5”を自称する短編集は8巻後のストーリー展開を主軸と...
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【ゲヲログ傑作劇場(輸入記事)】北斗の拳”南斗水鳥拳のレイ”

昔作家の仁木が言ってたんですけど、仁木は幼少期にこの巻に収録されているレイのエピソードを見て泣いたことがあったらしいですね。仁木は信州大学を出て作家やりながら坊さんもやって私塾もやってるっていうすごく器用で優秀なかたで、子供のころ初めて、このエピソードを読んだらしいです。その時に仁木は、自分の劣等感とあわせてレイの死を悲しんで号泣したそうです。ただし、仁木の評論はすごいものでこれだけじゃありません。仁木が人生の段階を踏んでステージを駆け上がっていった先にやっぱりこの漫画のレイのエピソードについて再考するべきものがあると確信したそうです。それがなんだったのか?仁木は人生において苦しいことや悲しいこと、そしてそれを乗り越える勇気が必要だということをよくよくわかってきた。苦悩もまたその通りにあるべきだとしたようです。そして、大人になった時にこの漫画のレイに学んだことがある、といいます。それが義星の役割だった。男として一人の女性を愛し、そのひとのことを思いながら、決してかなわない敵すなわちラオウ、拳王に定められた死の期限をしっかりと果たして堂々と死んでいくその様子が美しく、その光景にこそ泣いて...
ゲーム

ニトロプラス所属シナリオライター:下倉バイオ~ゲーム制作系ノウハウ本『「選択肢」の選択史』を2025年9月18日出版

講談社の完全子会社の出版社であり同社の系列グループの音羽グループに属する星海社から新しくゲーム系新書が出版されることが明らかになった。タイトルは『「選択肢」の選択史』となっていてトートロジー的な題名がついている。副題『ニトロプラスのシナリオライターはノベルゲームをどう作ってきたか』。その題名が示す通りニトロプラス所属のシナリオライターである下倉バイオが記すゲーム制作系のノウハウ解説本になるようだ。本書の出版年月日は2025年9月18日となる見込み。下倉は『月光のカルネヴァーレ』でニトロプラスのIPでデビューした後に数々のシナリオ系ゲーム(ノベルゲーム)制作で活躍してきたノベルゲーム界の寵児。その代表作として『スマガ』『STEINS;GATE』『アザナエル』『君と彼女と彼女の恋。』『凍京NECRO〈トウキョウ・ネクロ〉』『みにくいモジカの子』などがあるということが本書の要約にある。説明書きにある通り多岐にわたるIP制作で活躍してきた。一番有名で知名度抜群なIPは恐らくば『STEINS;GATE』だろう。2007年から活躍してきた古株。今やノベルゲームに留まらず『TVアニメ・ドラマ原案・漫...
エンタメ

【ゲヲログ傑作劇場(輸入記事)】白土三平「サスケ」~白土流マルクス主義思想と江戸幕府の武断政治と文治政治の分割点

白土三平の作品に「サスケ」というマンガがある。兄が学校の女性教員からもらいうけたものを私が家で受け継いでいるが、この作品は私にとっては白土の代表作品といっていい存在である。確かにほかの白土作品にも漫画評論の先達はあったし、その先駆けが白土の「忍者武芸帳」だったのは漫画ファンの間でではいまだに語り草だろう。その”白土漫画の評論ブーム”の後、白土自身がリアリズムとともに描き出したものがもう一個の代表作「カムイ伝」および今回紹介する「サスケ」だ。兄の担任の女性教員は「漫画はけっこういい勉強になる」とおっしゃってくださって漫画へ理解の深い、優秀な国立大学出の教員だったのを印象的に覚えている。彼女は兄の弟である私に「(マルクス主義への理解が強い私を評して)なぜあなたのような人がやさぐれ不良になるのかわからない」とまで言ってくださったwwwちなみに「サスケ」はアニメ化もされているが映像の方は今では入手困難でキャストの把握すら難しいらしい…。それだけ忘れ去られた漫画だが、 今なお私の住む市内の図書館には堂々と置いてある。ふつー図書館が漫画を置くことってのはしないんだが、私の市の場合財政が比較的健全ら...
学術

【ゲヲログ傑作劇場(輸入記事)】「天才美少女生徒会長が教える民主主義のぶっ壊し方」天王寺狐徹~”かなり評価できる政治学入門書”

天才美少女生徒会長が教える民主主義のぶっ壊し方 生徒会探偵キリカ 番外本書の概要結論から言うと、かなりの良書だ。確かに政治学本流の書ではないが、入門としては別格の出来。マジで学部の政治学入門の授業で使って良いレベルだ。分かりやすく書いてあるし、ほぼほぼ妥当なことしか言っていない。しかもオリジナルな対比論が多くあるので面白く読めるんだ。例えば『宗教として憲法を読み解く』『憲法(constitution)本来の意味を考えよ』といったところから始まり…『イギリスの民主主義』『絶対王政の台頭』など、現代(2023年の今読み返してみても…)から見てもかなりホットで現在進行形の話題が多く散りばめられている。また、”散りばめられている”といっても、個々の要素がバラバラになっているのではなくして、それらが一体化していく様子もしっかりと本全体から書ききっている。だから、読んでいて面白い。話が点と線で繋がっているので、個性的な語り口から述べられているのに、一冊が評論としてしっかりまとまっている。弧徹が提示する『宗教論』そのうち、一番重要な主張が間違いなく本書の提示する『宗教論』だろう。イギリスでもアメリカ...
ゲーム

変な漫画を多数レビューしてきた漫画馬鹿:ゲヲログ~「サイバーパンク エッジランナーズ」コミック化に関する駄文を連ねる

ゲヲログでは変なMAGコンテンツに関して独自の視点(笑)で限定的なファン(笑)にこれまでも情報を伝えてきた。「サバキスタン」「OMORI」「タコピーの原罪」...言われるまでもなく曰くつきの一種の奇作ばかりである(特段前二つを”推し”として挙げるコミックスファンなんぞ日本ではほとんどいないだろうが...w)。今回紹介する「サイバーパンク: エッジランナーズ MADNESS」だって同じようなもんだ。KADOKAWAの運営するWebコミックサイト「アライブ+」で連載中のブツでNetflix配信アニメ「サイバーパンク エッジランナーズ」を原案にとっている。アニメの内容の前日譚という位置づけの漫画。主人公にピラル・レベッカ兄妹が据えられ彼らがデイビッドと出会う時系列上の前を描いている漫画となっているのである。このコミックスはその第一巻が8月28日にリリースされることが決まったという。MAG関係メディア・各種報道プレスが地味に伝えている。つか盛大にネタバレするがピラルもレベッカもアニメでは死にますけど...。重ねて盛大にネタバレするがピラルは浮浪者に扮したサイバーサイコシスに殺されレベッカはアダ...
エンタメ

世界一わかりやすい「タコピーの原罪」の時系列解説&物語総括【盛大なネタバレ有】

「タコピーの原罪」について言えることがあるとすれば一つのテーマしかない...とその前になぜこの漫画が凄いのかを時系列でまとめてみようと思う。確かにこの漫画時系列がとてもとてもわかりにくいという感想はよくわかるところである。ちょっとまとめてみよう...とその前にまずWikipediaのあらすじのところから見てみてほしい。これは物語の伏線を踏まえたネタバレである。2016年、地球にハッピーを広めるため来訪したハッピー星人タコピーは、空腹で動けなくなっていたところを小学4年生の少女久世しずかに救われる。タコピーはお礼にハッピー星の様々な「ハッピー道具」でしずかを笑顔にしようとするが、しずかは相手にしない。しずかの心の支えは愛犬のチャッピーだったが、タコピーと出会って6日目、チャッピーは姿を消し、翌日しずかはタコピーから借りたハッピー道具「仲直りリボン」を使って首を吊ってしまう。しずかの自殺にショックを受けたタコピーは、ハッピー道具「ハッピーカメラ」で時間を戻し、しずかを救うため一緒に登校する。しずかはクラスメイトの雲母坂まりなにひどいいじめを受けていた。タコピーはハッピーカメラで何度も時間を...
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「負けヒロインが多すぎる!」(通称:マケイン)はなぜ傑作なのか?…考え付かなかったのでChatGPTの回答に沿って六つの理由を挙げてみた

ライトノベル「負けヒロインが多すぎる!」(通称:マケイン)はマジで傑作である。カルロがそう評したように絶妙なバランスの元に成り立っているといえる。カルロはマケインを称して二点の点で凄いと言う。まず「原稿の完成度が高い」と。ラノベの場合原稿は完成度が低いということがままあるという(改訂していくうちに完成度が高まる)。だがその通常のラノベ原稿の完成度の常識を覆すほどの文章力が雨森には元来あったという。次点「物語の完成度が高い」。これは各キャラクターが絶妙なバランスで物語を構成していることに驚嘆した旨を指すらしい。よーするにカルロはマケインのことをしょっぱなから素晴らしい精度を持つと評したいようなのだ。私も8巻を読んでその完成度の高さに驚いたがなぜマケインはここまで賞賛されるのだろうか?理由はいくつかあるだろう。...とか言っている割に「なぜそうなのか?」についてはきっかけやヒントが思いつかない。小一時間考え込んでも思いつかんのでChatGPTに聞いてみた。それに伴って私なりに自分の筆致で解説することでマケインの魅力を紐解いてみたい。まず第一にChatGPTは「負けヒロインという“報われなさ...
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作家:雨森たきびのサタデープログラム登壇に勝手に思ったこと

雨森たきび・サタデープログラムに登壇ライトノベル「負けヒロインが多すぎる!」の著者である雨森たきびが2025/6/28に開催されるサタデープログラム47thに登壇することが明らかになった。雨森は同47th講座の第3部(14:00〜15:30)を担当する(とはいっても講座は多岐にわたり併催され同じ第3部に分類される講座も同時開催されるので一概に雨森だけがこの3部担当者とは言えないようだ)。サタデープログラム47thの広告ウリ文句によれば「このライトノベルがすごい!を総なめにした話題の作品の作者が語る!」とある。「其の地元愛溢れる世界観と引き込まれるストーリーで一世を風靡している「マケイン」の作者が降臨!」し「夢を諦めない不屈の精神」と「文章の書き方」を語るとのこと(X)。文科系知識人によるシンポジウムこの報を通じてサタデープログラムはサブカル路線なのか?と思った方がいるだろうが(また私も単なる公開講座の二番煎じだと当初は思っていたが)ぜんっぜんそうではない。サタデープログラムでは真面目な正当派知識人も数多く招いているのだ。通常の学校授業だけではカバーできない進歩的なシンポジウム・イベント...
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人気沸騰中のライトノベル「負けヒロインが多すぎる!」が同じ愛知県豊橋市にルーツを持つ多機能定規「ベスト定規770」とコラボ

アニメ化された一期が大好評のうちに終わりその二期始動に強い期待がかかっているが...人気沸騰中のライトノベル「負けヒロインが多すぎる!」が豊橋生まれの便利文房具「ベスト定規770」とコラボレーションすることがXにて判明した(X)。精文館書店豊橋本店でも売られることが明らかになっている(X)。「ベスト定規770」は「愛知県豊橋市に本社を置くUHOLABO社が開発した多機能定規」(エコーテック株式会社)。元工業高校教諭の中村孝典さんが発明した新式の定規である(中日新聞Web)。この「ベスト定規770」は通常の定規機能のほかに三角定規・分度器・コンパスの各機能を盛り込んだアイデア商品だという。ちょっと複雑だがそもそものsourceとなっているエコーテック株式会社はそのHPからわかるように「本多電子から新市場創造部門として独立」して法人化された経緯を持つ会社法人(エコーテック株式会社)。専門の市場として超音波機器を取り扱うベンチャー企業である。商品ラインナップを見た感じかなり技術力のある会社なようだが文房具やキャラクターグッズも取り扱っている(エコーテック株式会社)。その周辺の流れの中で愛知県...
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なぜ「日常」新連載はつまらなくなってしまったのか?【「日常」という漫画に対する理解を深めるためそれに対する反論も考えてみた】

確かにそう言う理由はわかる。数年ぶりに連載再開され人気作だけに単行本の売上も悪くないはずである。なぜ漫画「日常」の新刊はつまらなくなってしまったのか?ということを私なりに感想として記しておきたい。もちろんそれに対する反論もあるだろう。それについても記しておこう。ちなみに私は全巻持っているし新連載分についても12巻まで持っている。これを機に「日常」という漫画がどういったものなのかを考えてみたいと思う。
エンタメ

~文章:雨森たきび & イラスト:いみぎみる~による大人気新時代ラブコメ「負けヒロインが多すぎる!」最新刊の表紙絵は馬剃天愛星(ばそりてぃあら)

~文章:雨森たきび & イラスト:いみぎみる~による大人気新時代ラブコメ「負けヒロインが多すぎる!」最新刊の表紙絵が馬剃天愛星になることが判明。公式Xポストにてその旨の言及があり恐らくばその表紙になるであろうのイラストが公開されている。最新巻の主な話題は生徒会選挙になるという。天愛星は生徒会の役員なだけにタイムリーな表紙絵登場となるようだ。学園ものの側面も持つ”マケイン”だけあって今一番興味深い人物の深掘りが為されることが期待されている。「負けヒロインが多すぎる!」は「可愛いけど残念な女の子」=通称:負けヒロインをテーマにとった愛知県豊橋市を聖地にとったライトノベル。特にツワブキ高校(モデル:時習館高校)文芸部とその取り巻きをコメディタッチで描いている。本作でブラックサンダーが豊橋名物のお菓子であることに気付いたのは私だけではあるまい。本作いざ単純なラブコメかというと全く既存のラノベとは目指しているベクトルが違う。これはWikipediaのカルロ・ゼンによる評価が一番的を得ているのでそれを踏まえたうえで解説する。カルロも評するようにこのラノベはまず何よりも文章が洗練されつくされていて修...
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noteにてjump氏が漫画「ハイキュー!!」の魅力について優れた論考を記していたのでそれを元手に(好き勝手に)補講してみた

ハイキューの魅力についてjumpさんがnoteにて語っている(「『ハイキュー!!』はなぜこんなにも人を魅了するのか」)。私も劇場版をネトフリで見てから今更ながらハマっている口だがこのjumpさんの評論はネット上で見かけた論考の中で一番良く出来ていると私は思う。それを振り返りながらハイキューアニメ勢が一生懸命ハイキューの魅力について(想定できることも含め)考えてみたい。劇場版第二幕が待ち遠しい...俄かファン(私の場合トレンドに遅れてハマるアニメ/漫画が多いようだ)がそういう状況でいささか興奮しながら書いてみる次第。まずjumpさんは「敗北のエトス」(正確には講の中では「負けと挑戦」とされている)について持論を述べる。誰もがいつか敗北する。どんな努力をしてもどんな功績を上げてもそれを後に続く後輩たちによって上行かれる。技術や考え方が変われば既存の記録はいずれ破られるのだ。スポーツは科学技術の進化が如実に表れる世界だからこれは当然のことである。用具だけではない。トレーニングの理論や統計学を用いた分析...いくらでもソリューションがあってそれが次々と適用される世界だ。さすがにここまでjump...
学術

出版社トゥーヴァージンズのコミックレーベル「路草」 「サバキスタン」の第四巻を2025年4月9日に刊行

2015年に設立された出版株式会社トゥーヴァージンズ(東京都千代田区)。そのコミックレーベルである「路草」から「サバキスタン」の新刊第四巻目が2025年4月9日に刊行されるという。既刊三巻の様子はゲヲログ別館にそのレビューが詳しいがどうやら第四巻目もこれまでの風味を忘れていない斬新な視点を持った特別な作風になるようだ。かの偉大なる漫画家ちばてつやは次のようにこのグラフィカルノベルを称して曰く。『サバキスタン』は、群衆が陥りがちな独裁的で狂信妄信的な社会の顛末、というシビアな題材を、ボップで可愛い絵柄と「犬の擬人化」という手法を使って、絶妙なバランスを成立させた作品です。ちばてつや氏も絶賛したロシアの反独裁コミックシリーズ、『サバキスタン』待望の続刊「革命前夜」4月9日発売!|PressWalkerより引用ビタリー・テルレツキーが漫画原作を・カティアが作画をそれぞれ担当する傑作グラフィカルノベル「サバキスタン」は第四巻をして新たなる局面を向かい入れることとなる。「王と貴族に支配された時代」をテーマにし副題に「革命前夜」とついているこの第四巻では「革命前の封建的社会を描」かれることが明らか...
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漫画家ぽむによる漫画「先輩はおとこのこ」の魅力について

漫画家ぽむによる漫画作品「先輩はおとこのこ」ほど特異なデザインを持つエンタメは昨今他にないと私は思う。もともとこの漫画作品はTwitter(現在のX)に投稿された「おとこのこが後輩に告白される話」がルーツになっている。Twitterに掲載された4ページの短い原案の発表が2019年7月のこと。その後に「LINEマンガ」にて2019年12月7日から本編が連載開始となり2021年12月30日に見事完結(主にこれが後述するアニメ版の土台となっている)。さらにはその土台となっている本編の前日譚を描く「先輩はおとこのこ 出会い編」として2023年12月21日に連載がリニューアル&再開され現時点でも執筆が続いているということである。漫画「先輩はおとこのこ」は”男の娘”である花岡まことを主人公として「男女3人の人間模様と繊細な心理描写」(Wikipediaより)を描いている。いわば捻りを加えたジェンダー漫画といえないこともない。だが本質的にはジェンダーに特化した内容ではないことも原作者ぽむの言により明らかになっていて「人間が問題を抱えたときどうやってその解決策を導くか?」という常識的で広めのレンジで話...
学術

三宅香帆は単なるエッセイストである

私はかつて紙屋高雪のことをこっぴどくサムズダウンしたことがある。「紙屋の文章は退屈で工夫がなく適当に漫画を交えて評論家ぶっているだけである」と著書「“町内会"は義務ですか? ~コミュニティーと自由の実践~」を凄惨に批判したのだ。だがその後出版された紙屋の「不快な表現をやめさせたい!?」は素晴らしい出来だった。具体性に富んでいて新規性がありテクニカルな評論が出来ていたからだ。ただし今回取り上げる三宅香帆の文章は「退屈で工夫がない」なだけではなく「評論家の仕事として根本的に評価出来ない」と思う。紙屋の一部の著書を酷評した以上により凄惨な評価を私自身せざるを得ない。同じ評論家でも明らかに紙屋のほうがずっといい仕事をしている。なぜだろうか?この理由は単純である。評論家というものは特に現代に至るに当たり小林秀雄のような印象評論であってはならないとする考え方がトレンドにあるからだ。評論というものは客観と主観を巡るビミョーな問題である。ゆえに当然これを客観的な論述に徹するべき学術論文にも当てはめられない。学術論文で評論をしたり特に印象評論をしたりするということは基本的にあってはならないのだ。あくまで...
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思うところがあってからめるの漫画買ってみた

”クソ動画クリエイター”を自認する登録者数247万人 総再生回数10億5351万7985回のYouTuber・SNS運用者・漫画家のからめるの単行本を買ってみた。からめるの出自はWikipediaに詳しいのでそちらを参照してほしいが端的に言うと本書は画期的な漫画だ。否漫画の枠にとどまない日本が世界に誇る一流のコンテンツあるいは芸術だ。この才能を世界は待っていたんだ!間違いなくとんでもない芸術である。この漫画の下敷きになっていると私が勝手に考えるのはやはり小林銅蟲による「ねぎ姉さん」である。少なくとも本書の理論的下敷きとして位置づけられると私は思う。Wikipediaは「ねぎ姉さん」のコンセプトのことをこう評している。「題名の不可読性」「展開を完全に無視した物語構成」「意味不明の発言内容など極端に不条理な作品」と(上述のリンクより引用させていただく)。このからめるにより漫画「からめる」もかなり近しいものを持っている。ジャンル的な総括は本文の最後に述べたいと思うがこの三要素のうち「からめる」はどこを継承しているのだろうか?例えば「題名の不可読性」は明らかに「ねぎ姉さん」のそれを継承している...
エンタメ

サルでもわかる漫画レビュー「SPY×FAMILY」縮約の平和と仮初の家族の物語【ゲヲログ1.5版】

『孤児院にいた経緯は分からんがこいつの実の親はおそらくもう…』大粒の涙を流すアーニャの心に揺さぶられたときロイドは”父”になるのだ。『ちちとはは…いちゃいちゃ…』そのアーニャのことばにこそ本来の純なる家族の見識を取り戻すための偉大な子供の力があるのだと私自身は思えてならない。~本文より~「SPY×FAMILY」という漫画のふたつの主題たしかに「SPY×FAMILY」は面白い。小説版も出ていて既刊9巻に過ぎないのにアニメ化が決まり放映されこちらも大成功。加えてファンブックのような関連本も多く出ている。私も当初はあまり好みの作画ではなかったことから避けてた漫画だったがアニメ版を見て本巻のほうをほぼ全て買った。読んで思うにこの漫画「SPY×FAMILY」はふたつの主題を持っているのだと私なりに思っている。まず”縮約の平和”という主題があり次に”仮初の家族”という主題があると私は考えた。ひとつめの主題”縮約の平和”まずロイドやヨルは平和のために動くという名目ある動機づけを持っている。ロイドはスパイとして世界のバランスオブパワーを保つため動きヨルは暗殺者として動く。この二人の夫婦はあくまで大人の...
エンタメ

思うところがあってニジェール出身の漫画家が描いた漫画買ってみた

けっこう面白そうだったから興味本位で買ってみた。輸入ということで一冊を仕入れるのに2500円ぐらいかかり高くつく。日本語で一番詳細な説明が付いて回っているのがpixivのページのようだ。ニジェール出身でフランス在住の漫画家Issaka Galadimaが作画担当(普段はITエンジニア)でアメリカの起業家Frederick L. Jonesが原作者(ゲーム会社の経営者であり漫画ブランドSaturday AMの設立者)のようである。漫画自体は12才の黒人少女CASTを主人公に据えている。彼女の夢は問題解決屋SMITHの一員になること。ただしSMITHは女性を構成員としないのが基本だしましてや黒人少女なんぞ加えたりしないのが常識的な感覚。SMITHの一員になるという少女の夢は成就するのか?そしてCASTを待つ冒険活劇はどんなものになるのか?まあこんなところがストーリープロットである。このプロットは原作者の経歴背景に裏付けられているようだ。どうやら原作者のFrederick L. Jonesはノースカロライナ大学チャペヒル校(University of North Carolina at Ch...
学術

名著精読記録「SFアニメと戦争」高橋杉雄

SFアニメと戦争 – 辰巳出版株式会社防衛研究所の偉い人によるSFアニメと戦争を題材に取った書籍を精読していく記録を残す。最近あまりTVで見かけないと思ったらご本人のXアカウントにその旨の報告があった。曰くところによれば制作サイドに併任になったことがTV露出が減った原因だという。端的に言うとこの本は精読する価値のある”天才による本”だ。高橋先生は博士号を取るつもりは現在も以前からも無かったらしくノンドクターでもここまでの本を執筆できるという事実に驚きを禁じ得ない。この書籍がそういった”天才による本”だということは構成を見ただけでよくわかる。この書籍は単なる起承転結があるだけとか単なるアニメ本なだけとかそういうレベルの本ではない。まず第一章では戦争とアニメの関係性が総観して述べられている。この第一章ではSFアニメが子供向けのタイトルから脱却した様子が述べられている。次に第二章ではSFアニメと国際政治の関係性が述べられている。この第二章ではSFアニメとリアルな国際政治の関係性を観察することでアニメーションを商業作品として割り切る必要性について述べられている。第三章では様々なアニメIPの個別...