理由③旧連載があまりにも神過ぎる出来だった
連載を通じて言えることがあるとすればあまりにも旧連載の出来が良すぎたという点もある。旧連載はあまりにも神過ぎたのだ。それを継承して新連載で長年…というかもう十年以上のスパンなわけだが…この勢いを全面的に維持してギャグ漫画として成立させ続けることは非常に漫画家の仕事として困難なのである。ひとつの作品が永久に愛されるわけではない。もちろんそういう人もいるだろうがその期待値にいつでも応えてほしいという願いはおそらくいずれにしたっていずれ否定される運命にあるだろう。それがイノベーティブな要素であり漫画産業の新陳代謝である。あえて私なりに矛盾も承知で言わせてもらうが「不朽の名作」というものはないのである。その意において「日常」は旧連載の品質が高すぎてアニメ版も凄すぎた。それを継承してずっと「不朽の名作」ポジションを維持するということは不可能なのである。いずれにせよ名作も古びて古典性(旧連載)に本質的には”戻ってしまう”のだ。新連載で旧連載ほどの品質を期待すること自体無理がある。
それに対する反論
むしろ「あらゐワールド」は健全に発揮されている。確かに作風に劣れが生じたのは正直なところかもしれないがだからといって新作の味がなくなったわけではない。むしろ他の漫画作品の続編があまりうまく行かないことを承知で言えば「日常」新連載分はうまく行っている方である。アニメーションが優れていて田中公平なども絶賛していたところを見ると新連載のアニメーション化にも期待は出来そうだしその出来まで見ていかないとひとつのIPとして・コンテンツとして総評は下しがたいのではないか?また12巻は11巻(いずれも新連載分)よりも旧連載分「日常」に近づいた傾向は評価できる。このまま旧連載の「日常」の雰囲気をまたぶり返すかもしれない。まだ新連載は開始したばかりであって長期的スパンで見ないと「日常」というあらゐけいいちの作品に対する俯瞰的な評価は下しがたいのもまた事実なのではないか?