Xでまかり通る金融部門赤字補填のためのJAによる米価吊り上げという陰謀論
ましてやXにおいては農水事業を巡って様々な根拠のない風説が繰り広げられている。例えば「JAが民営化される」だの「農中金が外債で1.8兆円を出した」だの「金融業の赤字額を補填するために米価を吊り上げている」などという単純にそうとは言えないヲタ話が蔓延しているのだ。まずXノートにも多く書いてある通り「JAは既に”農業者のための協同組合”である」。次に「農中金が外債で赤字を出した」のは事実でそれには複雑な裏事情があるとすることまでは正しいかもしれない。だが「今後改善して黒字を目指す」という姿勢は長期運用の立場から言えばあながち間違ってはいない。
Grokも否定する暴論
他方「JAが民営化される」と同じく最後の「金融業の赤字額を補填するために米価を吊り上げている」という意見は完全にヲタ話(単なる陰謀論)である。そもそもJAは米価を吊り上げるだけで1.8兆円もの赤字額を補填する能力を持っていない。Grokに聞いてみてもそれは証明済である。質問を投げてみて帰ってきた答えを引用しよう。Grokの返答を引用するまでもなくこの陰謀論は単なる暴論である。当たり前のことではないか。ちなみに2024年のコメ生産量683万トンをコメ1トン当たりの価格約40万円で×ても約2.7兆円の規模に留まる。当然1.8兆円もの赤字を補填できる市場構造ではない。
「農中金やJAが赤字を補うために米価を吊り上げている」という陰謀論は、以下の理由で現実的ではありません:
- 農中金の収益構造:農中金の主な収入は金融運用や融資で、米価そのものから直接利益を得る仕組みはない。米価高騰が農中金の財務を直接改善するわけではありません。
- JAの役割:JAは農家からコメを買い取り販売するが、販売手数料は米価の一部(数%程度)。高騰による手数料増は微々たるもので、1.8兆円もの赤字を補う規模には程遠い。
- 市場原理:米価は需給バランスで決まり、JAや農中金が価格を自由に操作できるわけではない。政府の備蓄米放出(21万トン)も行われたが、流通の優先順位(大手コンビニや量販店向け)や玄米販売規制で効果が限定的だった。
Grokの返答より引用
むしろインターネット民度の低さこそが問題である
これほど馬鹿馬鹿しい論理がYahoo!ニュースのコメント欄やXであたかも「正しいこと」とされているのだ。これを風説と言わずして何を風説と言おうか。「金融部門の悪化とタイミング良くJAが米価を吊り上げてきた」というのはそのタイミングがたまたま重なっているだけでそのように(タイミング良く)見えているだけなのである。このような単なる陰謀論がまかり通っていてそうした陰謀論を提唱する者たちが江藤のことを端に無能としてきたのであればそれはそれこそ公平性を著しく欠いた評価・評論である。むしろ問題なのはそうした(陰謀)論そのものではなく継続してバランス良く考えようとする脳のない劣化した民度のほうである。本質的にはインターネットの政治的民度の低さこそが問題である。