「タコピーの原罪」について言えることがあるとすれば一つのテーマしかない…とその前になぜこの漫画が凄いのかを時系列でまとめてみようと思う。確かにこの漫画時系列がとてもとてもわかりにくいという感想はよくわかるところである。ちょっとまとめてみよう…とその前にまずWikipediaのあらすじのところから見てみてほしい。これは物語の伏線を踏まえたネタバレである。
2016年、地球にハッピーを広めるため来訪したハッピー星人タコピーは、空腹で動けなくなっていたところを小学4年生の少女久世しずかに救われる。タコピーはお礼にハッピー星の様々な「ハッピー道具」でしずかを笑顔にしようとするが、しずかは相手にしない。しずかの心の支えは愛犬のチャッピーだったが、タコピーと出会って6日目、チャッピーは姿を消し、翌日しずかはタコピーから借りたハッピー道具「仲直りリボン」を使って首を吊ってしまう。しずかの自殺にショックを受けたタコピーは、ハッピー道具「ハッピーカメラ」で時間を戻し、しずかを救うため一緒に登校する。
しずかはクラスメイトの雲母坂まりなにひどいいじめを受けていた。タコピーはハッピーカメラで何度も時間を戻しながら、いじめからしずかを守るが、更にまりなを怒らせてしまう。まりなはしずかの愛犬・チャッピーに標的を移し、殺処分に追い込む。タコピーはまりなとチャッピーを会わせまいと何度も時間を戻すが、運命は変えられない。チャッピーは離婚した父親のところにいると言うしずかを、まりなは嘲り暴行する。助けに入ったタコピーは、ハッピーカメラでまりなを撲殺してしまう。その上カメラが故障し、過去に戻れなくなる。
しずかは現場を目撃した同級生の東直樹を籠絡し、事件を隠蔽させる。タコピーはまりなに変身して生存を装い、直樹はしずかと共に東京にいるはずのチャッピーを迎えに行く計画を立てる。だが、まりなの遺体が発見され警察が動き出す。直樹はしずかを守るため自首。夏休みにタコピーと上京したしずかは、父親を訪ねるが、チャッピーの姿はなく、再婚した父親はしずかを知らないふりをする。父親の子がチャッピーを食べたかもしれないから胃の中を調べる道具を出してと言うしずかを、タコピーはなだめるが、しずかはタコピーを見限り石で殴りつける。その途端タコピーの過去の記憶が蘇る。
2022年、地球にやってきたタコピーは高校生の雲母坂まりなと出会う。母親と折り合いの悪いまりなは東直樹と付き合いはじめ、母親の機嫌も良くなる。だが直樹は転校生の久世しずかに心ひかれ、まりなに別れを告げる。まりなは母親と口論の末、彼女を殺して「小学4年生のときにしずかを殺しておけばよかった」とつぶやく。それを聞いたタコピーはハッピー星に戻り、「大ハッピー時計」で小4のしずかを殺害したいとハッピーママに願う。ママは掟を破ったタコピーに記憶を消すと宣告するが、タコピーはママに逆らい無理矢理ハッピー時計で2016年の地球に戻っていたのだった。
混乱するタコピーは直樹との対話で「助けてあげる」だけでは駄目だと反省する。しずかと再会したタコピーはきちんと「おはなし」を聞いてあげられなかったことを謝り、自身の命と引き換えにハッピーカメラの機能を発動し、しずかをチャッピーが死ぬ前の時間軸へタイムリープさせる。タコピーのいない世界でも、まりなはしずかをいじめていたが、しずかがノートに書いていたタコの落書きを見て二人はタコピーのことを思い出し号泣する。数年後、しずかとまりなの家庭の問題は依然として解決していないが、二人は友人となっていた。
結論から言うとこれは全て正しい。これを踏まえたうえで次の時系列順の解説を見てみてほしい。そうすることでこの物語の流れがよくわかる。肝心なのはタコピーと最初に出会ったのは雲母坂まりなである点だろう。ここを意識して次の時系列解説を見てやってください。辻褄は実はあっているのである。とても精緻かつ巧妙に作られている。