オンラインPvPゲーム「World of Tanks」や「World of Warships」などを手掛けてきたWargamingによるロボットACT-PvPvEタイトル「STEEL HUNTERS」は成功できるか?

同じスタジオが作った「World of Tanks」や「World of Warships」はその辺りをうまくカジュアル路線や柔和なデザイン思考で乗り切ってきた感がある。またWargamingの作ったゲームが全部が全部成功しているわけではないことも見逃せない。「World of Warplanes」は間違いなく大失敗のゲームだったし今作「STEEL HUNTERS」がAタイトルとして優秀賞を勝ち取る成果を上げることが出来るか?というと私は正直難しいのではないかと思っている。繰り返すように試みはチャレンジブル。そこは配信前の今でも間違いなく評価できる。

ロボゲーはかの傑作である「アーマードコア」IPでさえバランス配慮に相当の難度があったことと思う。特にロボットACTゲームの代表格であるこのIPはシングルプレイのゲームであり絶妙なバランス性が求められるオンラインゲームではない。現に「大成功待ったなし!」と言われて期待されていたAAAタイトルのロボットゲームの先駆的タイトル「Mecha BREAK」でさえテストプレイを経てのデモ配信の段階ではゲームバランスを加味するのに失敗しているという現実があるのだ。この事例に学ぶことは(それこそどんなオンラインゲームタイトルであったとしても)多いと思う。

繰り返すがPvPvEはPvPよりも当然作り込むのが難しくなる。PvPの「Mecha BREAK」でさえ厳しいレビュー状況に晒されているのによりPvPvEに近寄ったジャンルゲームである(と思われる)「STEEL HUNTERS」が高評価のレビューを勝ち取るのはさらに難しいはずだ。特異点としてCrytekのPvPvEである「Hunt: Showdown」は成功しているがこれはレアケース。社運を賭けて作ったゲームがヒットし起死回生になった事例は数少ないことも各スタジオの閉鎖を数多見てきた歴戦のSteamerならばよく知っているだろう。例えば一人弱いプレイヤーがいたりゲームの知識の少ない初心者がいたりするとたちまちゲームのバランスが崩れ悪評が立つことが想定される。この例一つ取っただけでもそのソリューションを構築するのは極めて難しい…。

このように典型的なオンラインゲーム制作の失敗事例は数えきれないほどある。たしかにゲームスピードよりも戦術眼を…という設計思想はわからないでもないし意欲旺盛・ポジティブ・チャレンジブルな試みだと私は思う。だがソイツが「World of Tanks」だとか「World of Warships」のようにボンボンなユニットでワチャワチャするゲームを目指していないこともまた確かである。ロボットゲームはガキの夢でありガキの妄想でもある。そういうボンボンでない頭がひとつふたつ突き出たユニットデザイン下でこのタイプのゲームが成功するには新しいアイデアが必要なことは言うまでもない。この点でWargamingは辛酸をなめる可能性は高いと私は悲観的に判断している。

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